冬のスポーツと言えば、スキーですよね。
スキー場に行くまでが大変ですが、その大変さを忘れさせてくれる魅力いっぱいのスポーツです。
スキーには、大きく分類すると以下の3種類があります。
- アルペンスキー
- ノルディックスキー
- フリースタイル
かなり簡単にこれらの違いを分類すると以下の通りです。
- アルペンスキー →斜面をターンしながら滑り下りる
- ノルディックスキー →クロスカントリー:アップダウンのある雪上の走路を走る・歩く
ジャンプ:ジャンプ台から飛行する
- フリースタイル →斜面を滑り下りながら、エアなどの曲芸を行う
私たちが一般的に行うスキーは「ゲレンデスキー」と言われ、アルペンスキーのレクリエーション版だと言えます。
今回は、日常的に楽しまれているゲレンデを滑走するゲレンデスキーを取り上げ、以下の内容で解説します。
- スキーの生理学的特徴
- スキーの運動強度
- スキーのメンタルへの効果
なお、これ以降、スキーとはこのゲレンデスキーのことを指します。
スキーの生理学的特徴
エネルギー供給
スキーは、有酸素運動に分類されています。
すなわち、スキーに必要なエネルギー(ATPといいます)が酸素を用いて作られているということです。
スキーは長時間にわたり行う運動ですから酸素が必要になります。
ただ、実際に滑走している時間は比較的短時間、例えば3分程度です。
また、斜度やスピードが高い場合は大きな筋力を発揮しなければなりません。
そのため、乳酸系の要素も関与してきます。
ですから、スキーは乳酸系と有酸素系の2つからエネルギーが生み出されていると考えた方が良さそうです。
なお、エネルギー供給系については以下のブログを参照してください。
筋収縮様式
筋肉の収縮様式としては、等尺性収縮、短縮性収縮、伸張性収縮の3つのタイプがあります。
スキーの滑走においては、これらの3つのいずれもが関わっています。
伸張性収縮では、筋肉痛が起こりやすいので、スキーをやった翌日に生じる痛みの原因になります。
なお、筋肉の収縮様式については以下のブログを参照してください。
スキーの運動強度
メッツ
スキーのメッツは5.3で、「ゆっくりとした平泳ぎ」と同等の強度になるそうです。
最大酸素摂取量の40〜59歳の男性の基準値が10メッツ(※)です。
運動強度としては、最大酸素摂取量の53%(5.3÷10✕100)となります。
この運動強度は、健康づくり運動として適切なものであると言えます。
すなわち、次の効果が期待できます。
- 心臓への負担が適切である。
- 長時間の運動が可能でエネルギー消費量が増やせる。
- 脂肪の燃焼効率が高い。
(※)健康づくりのための運動基準値2013
心拍数の変化
メッツは5.3となっていますが、この値は標準的な値です。
ですから、コースの斜度、コースの距離、滑走スピードなど様々な要因で変わってきます。
では、実際にはどのくらいの運動強度になるのか心拍数の変化から見てみましょう。
下図は、3時間30分のスキー中の心拍数の変化をPolar社の心拍計で記録したものです。
心拍数は、最高値128拍/分で、平均心拍数は82拍/分です。
この数値をカルボーネン法の式に代入して運動強度を推定します。
なお、カルボーネン法については以下のブログを参照してください。
最高で、最大酸素摂取量の66%、平均では25%に相当することになります。
メッツでは53%程度の強度ですから、25%は低すぎる結果となります。
これは、図にあるように、心拍数が上下に大きく変動していることに起因します。
つまり、心拍数が下の時、実はこの時はリフトに乗って座っていて運動していないため心拍数が低くなっています。
リフトの乗車時を除くと、平均して53%程度の強度にはなりそうです。
また、最高で66%の強度であった点には注意が必要です。
すなわち、平均としては健康づくりに適した強度ですが、瞬間的にはそれよりも大きな負担が身体にかかっている可能性があるということです。
強度は、斜面の傾斜角度など影響されると思いますので、体力のない人は、あまり急な斜面は避けたほうが良いでしょう。
スキーのメンタルへの効果
スキーは雪山という自然の中で実施するスポーツです。
この非日常的な環境がメンタルをリフレッシュさせてくれます。
また、滑走中のスピードは、私たち一般人でも時速30〜40kmぐらいには達します。
そのスピードから生じる風、振動などの物理的な刺激を身体一つで受け止めなければなりません。
これが爽快感となります。
非日常感、爽快感が私たちのメンタルに良い影響を与えてくれるのです。
まとめ
- スキーは、乳酸系と有酸素系でエネルギーが生み出されている。
- 筋肉の収縮様式としては、等尺性収縮、短縮性収縮、伸張性収縮の3つのタイプが使われている。
- スキーのメッツは5.3である。
- 一般的な中高齢者で運動強度は53%に相当するが、瞬間的には66%を超えることもあるので注意が必要である。
- 雪山の自然の中で運動することで、非日常感、爽快感が私たちのメンタルに良い影響を与える。
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