さあ、有酸素運動しよう!
どんな目的でやるの?
えっ、それで何か変わるの?
そうなんだ。目的に応じて運動強度が変わるんだよ。
今回は、有酸素運動を実施する時の運動強度について解説します。
目的によって違う運動強度
有酸素運動を行うといっても、その目的で運動強度が異なってきます。
脂肪を効果的に燃焼したいのか、持久力をつけマラソンのタイムを縮めたいのか、など。
とにかくやればいいというものではありません。
有酸素運動の場合、運動強度は最大酸素摂取量を基準に設定します。
有酸素運動は、酸素を用いて運動に必要なエネルギー(ATP)がつくられています。
なので、酸素が取り込める限界値である最大酸素摂取量が基準となるわけです。
最大酸素摂取量を基準とした場合、以下を目安とします。
脂肪の燃焼 50〜60%
持久力向上 60〜80%
アスリート 80〜90% (長距離種目のアスリートが記録向上を目指す場合)
脂肪燃焼を目的とするなら、最大酸素摂取量の50〜60%の酸素を使うような運動を行うということです。
運動中の酸素摂取量の計測は困難
ここで問題になるのが酸素をどうやって測定するかです。
私たちが取り込んでいる酸素の量を計測するためには、吐き出している息を分析する必要があります。
どのくらいの量を吐き出しているのか、その中に含まれる酸素や二酸化炭素の割合など。
そのためには、口と鼻を覆う専用のマスクと、息を分析する機器が必要となります。
ただし、運動で移動しながら計測することは難しいですし、機器自体も高価です。
移動しながら酸素摂取量を計測できる機器も開発されていますが、これもやはり高価で、一般の人が利用するのは困難です。
心拍数を利用
ではどうするのか?
心拍数を利用するのです。
カルボーネン法(心拍予備法とも呼ばれます)を用いると、目標する運動強度に相当する心拍数(目標心拍数)を計算することができます。
次の式で計算します。
目標心拍数=(最高心拍数ー安静心拍数)✕運動強度+安静心拍数
「最高心拍数」は(220ー年齢)で推定します。
「運動強度」は、自分の目的に応じて設定しますが、脂肪燃焼の場合は50%なので0.5を入れます。
この場合、50ではなく、0.5となる点が注意です。
「安静心拍数」は、実際に計測をします。
安静心拍数の計測
数分間、安静にしてください。
腕時計などで、心拍数を計測できる(※)ものをお持ちでしたら、表示された数値を安静心拍数とします。
(※)実際には脈拍数で血液が流れてきている波を計測しています。
特別な装置がない人は、手首の親指側にある撓骨動脈の脈で計測します。
1分間の脈を数え、その値が安静心拍数となります。
安静心拍数の目安は、一般の方で60〜80拍/分、運動をバリバリやっている人では、60拍/分以下になる場合もあります。
脂肪燃焼を目的とした場合の目標心拍数の例
たとえば、50歳の男性(安静時心拍数が70拍/分)が、脂肪を減らすために有酸素運動を実施する場合、
まず、最高心拍数は220ー50で、170拍/分、
運動強度は、脂肪燃焼が目的なので最大酸素摂取量の50%で、0.5を代入します。
目標心拍数=(170-70)✕ 0.5+70=120拍/分
運動中の心拍数が120拍/分になるように運動すればよいということです。
運動は、走っても自転車をこいでも、なんでも良いです。
運動中の心拍数の計測
運動中は、目標心拍数に達しているか、あるいはオーバーしていないかチェックをします。
腕時計で心拍数が計測できるものをお持ちの方は、その数値を見ながら、おおよそ目標心拍数になるように運動のスピードを調整すれば目的の運動が実施できていることになります。
心拍数を計測する機器を持っていない人は、安静時と同様に手首の撓骨動脈の脈を数えます。
ある程度運動したら、立ち止まり、素早く撓骨動脈で脈を数えます。
10秒間の脈を数えて、その値を6倍した数値が運動中のおおよその心拍数となります。
立ち止まらないと計測できませんが、心拍数も回復してしまいますので、素早く計測するのがポイントです。
また、心拍数の回復も見込んで、脈拍数の数値に10拍/分程度をプラスするのも良いと思います。
運動中に心拍数をモニターしながら、運動強度を目標に合わせられるのがこの方法の素晴らしい点です。
ただ、カルボーネン法はあくまでも簡易的な方法となります。
いろんな仮定を前提として式ができていますので、注意も必要です。
そのため、目標心拍数が高め、あるいは低めに計算される場合もあります。
実際に、運動してみて、きつすぎる場合は、無理せず運動を中止してください。
健康のための運動に無理は禁物です。
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