褐色脂肪ってなんですか?
脂肪を熱にして燃やしてくれる脂肪細胞です!
褐色脂肪は、脂肪を熱に変える特殊な細胞です。
赤ちゃんの熱産生に重要な役割を果たしていると考えられています。
赤ちゃんは、身体が小さいので、体温維持が大変なんです。
そこで、褐色脂肪が活躍している訳です。
しかし、成長とともに褐色脂肪は退縮し、成人になると全くなくなると考えられてきました。
ところが、最近、成人においても褐色脂肪があることが確認されました。
褐色脂肪は、体温維持だけでなく、肥満を解消してくれる可能性があるのです!
今回は、以下の内容で褐色脂肪について解説します。
- 脂肪細胞
- エネルギー消費と褐色脂肪
- 褐色細胞と肥満
- 褐色脂肪を増やす
- 褐色脂肪を刺激する
脂肪細胞
脂肪細胞には、2種類あります。
- 白色脂肪
- 褐色脂肪
この2つは役割が異なります。
・白色脂肪
脂肪細胞は、中性脂肪を貯蔵することはよく知られていますね。
それが白色脂肪です。
皮下や腹腔内内にあり、それぞれ皮下脂肪、内臓脂肪と呼ばれています。
白色脂肪は、貯蔵がメインですが、最近ではいろんな生理活性物質を分泌することも知られています。
生理活性物質とは、私たちの身体の生理的な機能に影響を及ぼす物質のことです。
内臓脂肪からは、食欲を抑制する作用を持つレプチンという生理活性物質が分泌されます。
・褐色脂肪
こちらは茶色をした脂肪になります。
白色脂肪と異なり熱を作る細胞になります。
褐色脂肪には、特殊な、熱をつくるタンパク質があるのです。
褐色脂肪には、交感神経からの命令によって熱を産生します。
ヒトの褐色脂肪のある場所は、現在確認されているところでは鎖骨上部と椎骨周辺になります。
エネルギー消費と褐色脂肪
褐色細胞は、熱産生が主な働きになります。
したがって、寒い場所でその本領が発揮されることになります。
寒冷刺激という手法を用いた研究によると、19℃で2時間の刺激で褐色細胞が活発にエネルギーを作り出すことがわかっています。
これを「寒冷誘導性熱産生」と言います。
これとは別に、食後にエネルギー消費が増加することが知られています。
これは、「食事誘導(発)性熱産生」と言います。
これにも褐色細胞が関連しているのです。
このようにエネルギー消費において、褐色細胞は一定量の貢献をしていることが分かってきました。
褐色脂肪と肥満
エネルギー消費と褐色脂肪が関係しているのであれば、脂肪量にも関係がありそうです。
実際、褐色脂肪と全身の脂肪の量が関係することが分かってきました。
すなわち、褐色脂肪の活性が低いと、皮下・内臓脂肪の量が多いのです。
また、加齢とともに褐色脂肪が減少します。
これは、中高年になり内臓脂肪が増加することと関連しているようです。
適切な脂肪量を維持できていれば、褐色脂肪も維持されるということです。
褐色脂肪を増やす
では、少なくなってしまった褐色脂肪は増やすことができるのでしょうか。
寒冷刺激を継続した研究報告があります。
寒冷刺激(16℃)を1日2時間、6週間続けた実験です。
その結果、褐色脂肪の活性が低い人でも活性が増加し、エネルギー消費の増加と体脂肪の減少が確認されています。
また、寒冷刺激を継続することで、白色脂肪が褐色化し、これはベージュ細胞と呼ばれています。
このような適応が生じ、褐色脂肪の再活性化とベージュ細胞の増加により、脂肪を燃焼しやすく変化するのです。
このように褐色脂肪は肥満の予防・改善に役立つのです。
褐色脂肪を刺激する
脂肪を燃焼させるためには、褐色脂肪を刺激しなければなりません。
もっともシンプルな方法は寒冷刺激になります。
ただ、なかなか寒冷刺激(16℃や19℃)を日常の中で取り入れることは難しいです。
そこで、現在考えられているのは、食物による方法です。
その一つにカプサイシンがあります。
カプサイシンに似た物質を長期的に摂取することで、褐色脂肪が増加し、体脂肪が減少したことも報告されています。
他にも、お茶に含まれるカテキン(茶カテキン)も同様の効果があります。
ただ、食物による摂取は効果は寒冷刺激より小さくなります。
まとめ
- 脂肪には、白色脂肪と褐色脂肪がある。
- 白色脂肪は中性脂肪を蓄積し、褐色脂肪はエネルギーを消費して熱産生する役割がある。
- 褐色細胞の活性化を高めることで、脂肪を減少させ、肥満の改善につながる可能性がある。
- 褐色脂肪の刺激には、寒冷だけでなく、カプサイシンや茶カテキンなどの食物でも可能である。
有酸素運動は脂肪を減らす効果があります。
褐色脂肪の刺激を取り入れながら、有酸素運動を実践することでより脂肪を減らす効果が促進するかもしれませんね。
褐色脂肪が成人でも存在することはごく最近確認されたばかりです。
今後も、新しい発見が次々になされる分野ですので、楽しみですね!
<参考資料>
- 斉藤昌之、心身医、60(3)、 2020
- 米代武司、体力科学、60(5)、2018
- 中村和弘、生化学、90(3)、2018
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