筋トレでは、重りをなどを持ち上げてトレーニングしますが、その時、筋肉はどんなふうに動いて力を出しているのでしょうか?
軽い重りで軽々持ち上げられる時と、かなり重くて耐えられそうにない時では、筋肉は同じように動いているのでしょうか?
筋肉がどのように動いて力を出しているかを知ることは、トレーニング効果を高める上でも大切な知識になります。
今回は、この点について解説していきます。
筋肉の力の出し方
筋肉は髪の毛ほどの太さの筋線維が束になってできています。
筋線維には、アクチン・フィラメントとミオシン・フィラメントというタンパク質があり、これらが相互作用して筋線維が短くなります。
筋線維が短くなることを「短縮」といいます。
筋線維は腱で骨にくっついています。
筋肉が短縮すると、その力が骨に伝わり、関節運動が生じるのです。
筋肉は、本来、短縮して力を発揮します。
しかし、外から力が加わると筋肉の本来の力の出し方と違った状況が生まれます。
運動やスポーツでは、地面や相手から力を受けたり、空気や水から抵抗を受けたり、と外から力(外力)が加えれます。
例えば、歩くことを考えると、私たちは筋肉で力を発揮して地面を蹴りますが、地面からその反作用の力を受けます。
この反作用の力によって、私たちは前に進むことができます。
スケートリンクの氷の上を歩こうと思っても滑ってなかなか前に進めないのは、反力が得られにくいからです。
私たちが力を出す場面では、自分で発揮する力だけでなく、外力が加わり、これらの力の大小関係で次の3つの筋の収縮様式が生じるのです。
- 等尺性筋収縮
- 短縮性筋収縮
- 伸張性筋収縮
では、それぞれを見ていきましょう。
等尺性筋収縮(isometric contraction)
アイソメトリックと略されて言われることも多いです。
「筋線維が長さを変えないで発揮する力」という意味です。
筋線維は短縮しようとして力を出しているのだけれども、外力と釣り合って動けない、という状況です。
腕相撲で考えると、二人の力が拮抗して、手と手を組んだ最初の場所から動いていない状況です。
ポイントは、二人とも全力で力を出しているのに、動きが起こらず、見かけ上止まって見えているということです。
握力計をギュッと全力で握っている時もほぼ同じ状況です。
短縮性筋収縮(concentric contraction)
コンセントリックと略されて言われることも多いです。
「中心の方向に向かいながら発揮する力」という意味です。
筋線維は短縮しようとして力を出し、その力が外力よりもが大きいため、筋肉が短縮する方向と同じ方向に動く状況です。
腕相撲では、相手よりも自分の力の方が強く、押し込んでいる状況です。
伸張性筋収縮(eccentric contraction)
エキセントリックと略されて言わることも多いです。
「中心から離れながら発揮する力」という意味です。
筋線維は短縮しようとして力を出しているのだけれども、外力の方が大きいため、収縮する方向とは反対方向に動かされている状況です。
腕相撲では、相手の力の方が強く、押し込まれている状況です。
日常生活の中で経験している3つの収縮様式
筋肉は短縮して力を出すので、短縮性収縮は理解しやすいですね。
一方、等尺性収縮とか伸張性収縮は理解に苦しむところです。
ポイントは、外力が加えられているということです。
外力と筋肉の出せる力の関係で、特殊な筋収縮があるんです。
しかし、私たちの日常生活や運動の場面では、これら3つの収縮様式を普通に経験しているのです。
伸張性収縮は、最も理解の苦しむところでしょう。
「伸ばされながら力を発揮する?」
「そんなこと、日常生活で経験するの?」
そう疑問に思っている方も多いことでしょう。
それが毎日経験しているのです。
例えば、階段を降る時のふくらはぎの筋肉、下腿三頭筋がわかり易い例として挙げられます。
階段を降りる時、まずつま先からつき、踵が地面と急激に衝突しないようゆっくり着地させていきます。
急激に衝突すると踵を痛めてしまいますので、それを防いでいるのです。
このとき、下腿三頭筋は収縮しています。
下腿三頭筋が収縮すると、本来はつま先立ちになるような作用をします。
踵が重力で落下する時、下腿三頭筋を収縮させ、反対方向に力を加えながら、その落下スピードをコントロールしているのです。
下腿三頭筋は収縮していますが、関節はその収縮とは反対の動きになり、結果的に伸張性収縮になっているという訳です。
ちょっと複雑ですね・・・
また、伸張性収縮は、3つの収縮様式の中で最も遅発性筋肉痛になりやすいと言われています。
ですので、階段や山から下る動作が多いと、筋肉痛になります。
まとめ
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