熱中症には早めの準備

健康・運動

4月〜5月は、急に夏日になったり、寒の戻りがあったりと毎日の気温差が大きい時期です。

体調を崩しやすい時期ですから注意が必要な時期ですね。

さらに、熱中症への注意も忘れないようにしたいですね!

えっ、熱中症に気をつけるにはまだ早くないですか!?

熱中症は7月ごろから増加します。

ですが、実は、5月ぐらいから徐々に増加していきます。

気温の急激な変化が多い4月〜5月から熱中症の注意が必要なんです。

また、熱中症が急激に増え始める前に、熱中症に向けた準備も4〜5月ごろから始めたいですね!

熱中症とは(資料1)
  • 暑熱環境で発生する障害の総称で、熱失神、熱痙攣、熱疲労、熱射病に分けられます。
  • 熱失神は、血圧の低下から脳血流量が減少し、めまいや失神などの症状がみられます。
  • 熱痙攣は、血液中の塩分濃度が低下し、痛みをともなう筋痙攣が生じます。 
  • 熱疲労は、脱水による循環不全で、脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気などの症状が見られます。
  • 熱射病は、体温が40℃以上に上昇し、脳機能に異常をきたした状態です。

今回は、以下の内容で熱中症について解説します。

  • 熱中症の発生時期
  • 順応
  • 気をつけるポイント

熱中症の発生時期

下図は、令和4年の熱中症による救急搬送状況(総務省)です(資料2)。

熱中症は、6月の中旬から9月にかけて多く発生しています。

特に、6月の下旬から7月にかけては、一気に増加します。

しかし、実際には5月ごろから増えはじめています。

「そんなに早く?」と思われる時期だからこそ注意したいですね。

この時期では次の特徴があります。

  • 寒暖差が大きく、急激に気温が上昇する日が増える
  • 暑さに慣れていない
  • 気が緩んでいる  など

「夏はまだこれから」、「熱中症にはまだ早い」という思いが気の緩みを生みます。

順化

私たちの身体は環境に順化するようにできています。

順化すれば、ある程度は暑いところでも平気になります。

ただ、順化するまでには時間がかかる点には注意しなければなりません。

ですから、本格的な夏の前に、身体が暑さに順化する前の時期に熱中症が起こりやすくなります。

暑い環境に順化するまでには、数日から2週間程度はかかるようです。

個人差

順応には個人差があります。

普段、運動習慣のある人、すわなち体力のある人は順応するまでの時間が短いようです。

一方、こども、体力のない人、中高齢者では順応するスピードが遅いので、特に注意したいですね。

また、一度、順化したからといって、その能力がずっと続くことはありません。

涼しい環境になれば、また元に戻ってしまいます。

ですから、昨年、暑さに慣れたからといって油断してはいけません。

温度センサーの鈍化

中高齢者は、暑さを感じる温度センサーにも問題が生じてきます。

温度センサーは周囲の温度を感知し、暑い場合は汗をかくなど体温を下げる反応が生じます。

また、汗で身体の水分が不足しますから、脳が水分(水やスポーツドリンク)を欲し、給水行動を引き起こします。

暑くなったことが分かれば、このような対応を生じさせることも可能です。

しかし、加齢によって温度センサーの感度も鈍ってしまうというのです。

暑さに気付けないっていうことで、これは危険な状況です。

そして、「暑い」と感じた時にはもう手遅れになることも。

順化に有効な対策

本格的な熱中症シーズンに入る前の5月ごろには順化の準備を始めたいですね。

順化に有効は方法としては、無理のない範囲で汗をかくことです。

つまり、運動です。

気温が上がり始めたころから、散歩など軽い運動をしてみましょう。

自分の体力に合った、無理のない運動を行うことが大切です。

順化するための運動ですから、無理は禁物です。

気温や運動によって体温が上昇することで体温調節システムが働きます。

体温調節システムを実際に働かせることで、素早く、適切な調節ができるようになるのです。

準備運動と同じですね!

気をつけるポイント

では、熱中症にならないためにはどんなことに気をつければよいでしょうか?

以下の点に注意してみましょう。

熱中症への対策
  • 塩分を含んだ水分の摂取
  • 適切な服装
  • 適切なエアコンの利用

塩分を含んだ水分の摂取

体温を下げる方法として、発汗があります。

汗を皮膚表面に出し、それが気化する際の熱を利用して私たちは体温を下げます。

暑熱環境では、発汗量が増加し、身体の水分量が減ってしまいます。

身体の水分量が減ってしまうと発汗の機能が低下してしまい、体温を下げることができなくなってしまいます。

ですから、定期的に水分を摂取することが大切です。

発汗時に、塩分も失われ、痙攣などのトラブルが生じます。

塩分を含んだ水分を摂取するようにしましょう。

また、水分の温度も大切で、冷たい方が身体への吸収が早くなります。

適切な服装

皮膚は、体温調節において重要な場所になります。

暑熱環境では、皮膚から熱を外部へ逃していきます。

ですから、厚着では熱を外部へ逃がすことができません。

気温に合った、適切な服装が体温調節では大切になります。

中高齢者では、温度センサーが鈍化していますので特に注意したいですね。

小型の温度計を持参して、気温に気を配ることも必要ですね。

適切なエアコンの利用

電気代も上がっていますので、エアコンの使用をためらってしまうかもしれません。

しかし、命には変えられません。

温湿度計で室温・湿度をチェックして、危険な状況ではためらわずエアコンを使用しましょう!

危険な状況かの判断は、次のサイトで確認してみましょう。

「熱中症ゼロへ」→https://www.netsuzero.jp/learning/le11

まとめ

  • 熱中症は4〜5月頃から増え始めるため、早めの準備が必要である。
  • 暑熱環境に順化するのに2周間程度かかるが、個人差がある。
  • 中高齢者は、順化に時間がかかり、体内の温度センサーが鈍化しているので、熱中症には特に注意が必要である。
  • 5月ごろから順化の準備として、汗をかく運動を実践することが勧められる。
  • 熱中症の予防として、塩分を含んだ冷たい水分の摂取、適切な服装、適切なエアコンの利用が挙げられる。

<参考文献>

  • 資料1:「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」、日本スポーツ協会、2019
  • 資料2:https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r4/heatstroke_geppou_202205-09.pdf
  • 資料3:熱中症ゼロへ、https://www.netsuzero.jp/

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