スロトレって聞いたことがあるんですが、何ですか?
ゆっくり筋肉を収縮させるトレーニングで、効果が高いと言われています。
スロトレは、「スロートレーニング」の略です。
筋トレで、力を入れている時間を長くするために、ゆっくり動作を行うというものです。
スロトレのメリットは以下の通り。
それぞれについて解説していきます。
1.低負荷で高負荷と同等の効果が得られる
一般的な筋トレの負荷
筋力トレーニングは、筋肉に適切な負荷を与えることで効果が得れるものです。
では、どの程度の負荷が適切なのでしょうか?
筋力トレーニングで負荷の指標になるのが1RM(最大挙上重量)です。
1RMは、2回はできないが1回だけ持ち上げられる重量と定義されています。
各個人の筋力の最大値ということになります。
この1RMを基準して、トレーニングの負荷を相対的に考えるのです。
筋力トレーニングの目的と負荷の基準(RM)は以下の通りです。
目的 | RM |
筋力 | 1〜8 |
筋肥大 | 8〜12 |
筋持久力 | 12〜20 |
この表にある通り、筋力や筋肥大を目的とする場合は10RM前後の負荷が必要になります。
10RMは、10回で限界を迎える負荷で、1RMの70〜80%程度になります。
重い負荷ですね。
スロトレの負荷
スロトレは、ゆっく動作を行うことで筋肉を収縮させている時間を長くしています。
このため、低い負荷でも、収縮により筋肉内の血管を圧迫し、筋肉へ送る酸素量を低下させることができます。
この酸素が少ない(低酸素)刺激が、筋力や筋肥大に対してプラスの刺激となるのです。
つまり、通常なら高い負荷でないと得られない低酸素状態が、ゆっくり動かすことで低い負荷で可能となるのです。
通常の動作スピードの場合、1RMの30%の負荷では、低酸素状態にはなりません。
ところが、スロトレでは、ゆっくり動かすことで1RMの30%で低酸素状態にでき、高負荷と同じような効果が得られるのです。
高負荷は何か問題があるのでしょうか?
実は、筋トレは血圧を上昇させます。
そして、筋トレの負荷の増加に比例して血圧も上昇してしまうのです。
ですから、低い負荷で筋トレができることは、血圧を考えた場合にも好条件なのです。
スロトレは高負荷と同等の筋力・筋肥大の効果がありながら、運動中の血圧は高負荷よりも低い値になることが報告されています(※)。
(※)Tanimoto & Ishi, JAP, 100, p1150-1157, 2006
ですから、血圧が高めの方、特に中高年にとっては最適な筋トレとなります。
2.速筋線維を効率に鍛えられる
私たちは、力を出す時、まず遅筋線維を、その後、速筋線維を使うようになっています。
これはサイズの原理と呼ばれ、私たちが力を発揮する際の調節するルールとなるものです。
筋肉は髪の毛ほどの太さの筋線維から構成されています。
この筋線維をコントロールしている神経細胞の大きさで、使われ方が違うという原理です。
小さいサイズの神経細胞がコントロールしている遅筋線維から、大きなサイズの神経細胞の速筋線維へと移行していくことを表しています。
詳しくは、下記ブログを御覧ください。
ですので、弱い筋力発揮の場合は遅筋線維が主に用いられることになります。
筋力をアップさせるためには、速筋線維のトレーニングしなければなりません。
スロトレでは、ゆっくり筋肉を収縮させることから、血管が押しつぶされて、筋肉が低酸素状態になります。
筋肉はエネルギーを得て収縮することができるのですが、エネルギーを供給する経路には、以下のものがあります。
ATP-PCr系、乳酸(解糖)系は酸素がない状態でもエネルギーを供給できることから、無酸素系とも言われます。
スロトレでは、酸素が十分に使えない環境にある訳です。
そうなると、筋肉は無酸素系のエネルギー供給に頼らざるを得なくなります。
筋線維タイプはエネルギー供給系と密接に関連しています。
遅筋線維は、有酸素系から主にエネルギーを得ています。
遅筋線維は赤色をしているので、赤筋線維とも言われますが、筋線維のミオグロビンというタンパク質を多く含んでいます。
ミオグロビンは、酸素の運搬・貯蔵に活躍するタンパク質で、酸素と結合することで赤色になるのです。
一方、速筋線維は、無酸素系から主にエネルギーを得ています。
ですから、スロトレによって筋肉内の酸素が少ない状況では、遅筋線維の活動が制限され、速筋線維が優先的に使われる訳です。
だから、スロトレ速筋線維が効率的にトレーニングできるのです。
3.手軽にできる
スロトレは、重りを用いたマシーントレーニングやウエイトトレーニングで活用できます。
また、それだけでなく、自体重を活用した形でも利用できるのが便利です。
特別な用具は必要としません。
時間を計測するための時計は準備して下さい。
例えば、スクワットの場合は、
手軽ですね!
高齢者であれば、下半身の筋力低下が大きな問題ですから、スロトレでのスクワットを継続してみて下さい。オススメです!
まとめ
- スロトレはゆっくりとした動作で実施することで、低負荷でも高負荷と同等の効果が得られる。
- スロトレでは速筋線維が優先的に使われ、効果的な筋トレができる。
- スクワットでスロートレーニングを実施することで、下半身の筋力を効果的にトレーニングできる。
太極拳も健康に良い効果があることが報告されています。
スロトレも太極拳も共通点は「ゆっくり動く」こと。
面白いですね!
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