健康づくりで運動を始めたいんですが、どのくらいの強さで運動すればいいのですか?
「ニコニコペース」で運動してみましょう!
一般の方が運動する際に、最も悩むのが「運動強度どうすればよいか」ではないでしょうか?
そして、きつい運動の方が疲れるので効果も高そうだと勘違いしてしまいがちに。
実は、そうではないのです。
運動による効果を得るためには、運動強度の設定が重要になります。
運動強度が弱すぎても効果がほとんど期待できません。
一方、強すぎる運動は身体に過度の負担をかけ、ケガや命の危険に陥るリスクも高まってしまいます。
じゃあ、どうすればいいの?
厳密には、50〜60%VO2maxが健康づくり運動としては最適な強度になります。
でも、実際にやることを考えると、どうやってその運動強度に合わせられるかわかりません。
運動中に使っている酸素の量なんて測る装置もありませんよね。
そんな時に役立つのが、「ニコニコペース」です。
友達とニコニコ、笑顔で話せるぐらいのペースの運動になります。
ニコニコペースは、おおよそ50〜60%VO2maxに相当します。
今回は、このニコニコペースについて、以下の内容で解説します。
- 運動強度の設定
- ニコニコペース
- 心拍数との併用
運動強度の設定
運動の目的によって運動強度をどの程度に設定するかが決まります。
健康づくりを目的とする場合、運動強度は50〜60%VO2maxになります。
長距離が速くなりたいなど、競技志向の方はもっと高い強度を設定します。
VO2maxは、最大酸素摂取量のことで、各自の有酸素能力の最大値です。
しかし、50〜60%VO2maxで運動をやろうと思っても、現実的ではありません。
というのも、基準となる最大酸素摂取量や運動中にどれだけ酸素を使っているかということは計測できません。
これでは、なかなか健康づくり運動が実践できません。
ニコニコペース
そこで考え出されたのが「ニコニコペース」です。
非常にわかりやすい言葉なんですが、これがまた優れものなんです。
ニコニコペースとは、その名が示している通り、「笑顔」で話ができる程度の運動強度になります。
ただ、「ニコニコ」というと、いくらでも軽い運動で良いことになってしまいます。
軽すぎる運動では、効果も薄れてしまいます。
そこで、大切になってくるのが、「息が弾んで汗ばむ」程度ということです。
息が弾み汗ばんでいるけれども、ニコニコと笑顔で話せる程度の運動ということです。
このニコニコペースが、まさに50〜60%VO2maxの運動になっているのです。
50〜60%VO2maxでの運動は以下のメリットがあります。
・脂肪の燃焼効率が高い
・長時間の運動ができる
・安全性が高い
・爽快感が得られる
身体に蓄積された脂肪を燃焼させるためには、運動強度が重要です。
きつい運動の方がたくさんエネルギーが使われ、脂肪が燃焼しているように思ってしまいます。
しかし、実はそうではありません。
きつい運動では逆に脂肪が燃焼できなくなってしまうのです。
また、きつい運動は長い時間持続することはできません。
軽い運動を長時間行った方が、結果的に総エネルギーの消費量を増やすことができるのです。
これらの点を総合的に判断すると、50〜60%VO2maxが最も脂肪が燃焼できる条件となるのです。
さらに、安全性という観点からも、ニコニコペースは優れています。
きつい運動では、心臓・血管系に過度の負担をかけることになります。
しかし、逆説的ですが、運動は身体に負担を掛けないと、トレーニング効果は得られません。
心臓・血管系に強すぎず、適度な負担を与えてくれるのがニコニコペースなのです。
心拍数との併用
ニコニコペースは、行っている運動に対して自分がどう感じたかという主観的な強度になります。
とても大切な情報なのですが、注意点もあります。
あくまでも「主観的」であるため、ついつい頑張り過ぎてしまう人もでてきてしまうのです。
我慢強い人なんかは、「まだ、まだ、」と、無理しがち。
そうなると、本来の意味でのニコニコペースとは異なったものになってしまいます。
また、運動に慣れていない人は、運動に対する感覚自体もよく判断がつかないこともあります。
ですので、心拍数も合わせて活用するようにしましょう。
心拍数は、客観的に運動強度を示すものになります。
運動強度が上がれば、筋肉でたくさんの酸素が必要になります。
その酸素は、血液によって運ばれますから、心臓が血液を送り出す回数を増やします。
すなわち、心拍数が上昇します。
運動強度と心拍数は直線的な関係になるため、心拍数から運動強度を知ることができるのです。
心拍数から運動強度を知るには、心拍予備法(カルボーネン法)を用います。
心拍予備法(カルボーネン法)については、以下のブログを参照して下さい。
これによって、心拍数から客観的に運動強度を知ることができます。
心拍数も心拍計を使えば、運動中の数値をリアルタイムで知ることができます。
心拍数から運動強度がわかるなら、主観的な運動強度なんていらないのでは?
そう思われる方もいるかも知れません。
しかし、心拍数は運動以外の要因でも変動するため、完璧な指標とは言えません。
一方、主観的な運動強度も、同じです。
ですから、両方を活用することで、欠点を補うことができるという訳です。
心拍数とニコニコペースの活用方法としては、以下のようなイメージです。
計算された目標心拍数であっても、きつくて「しかめっ面」になるような運動はよくありません。
しかめっ面になるような強度では、身体に過度の負担になっている可能性もあります。
まずは、安全第一を考えましょう。
せっかく運動を始めるのですから、安全に効果的に実施したいですよね。
まとめ
- 健康づくり運動は、50〜60%VO2maxの強度になる。
- ニコニコペースで健康づくり運動が実践できる。
- ニコニコペースは、息が弾み汗ばんでいるけれども、ニコニコと笑顔で話せる程度の運動である。
- ニコニコペースと心拍数を併用することで、安全で効果的な運動ができる。
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