筋線維タイプを調べる

健康・運動

筋肉は、遅筋線維と速筋線維がありますよね?自分の筋肉のタイプはどうやったらわかりますか?

厳密に調べる方法はなかなか難しいですね。ただ、最近では遺伝子検査で調べる方法も開発されています。

筋肉には、次の3つのタイプがあると言われています。

  • 速筋線維
  • 中間筋線維
  • 遅筋線維

筋線維のタイプで、向いている運動なんかが決まるという話もあります。

となると、自分の筋線維タイプを知りたくなりますよね。

では、これらはどうやって調べるのでしょうか?

筋肉の一部分を取り出す方法から、最近では遺伝子を解析する方法が開発されているようです。

簡易的には、50mと12分間走を実施することで推定できます。

今回は、筋線維タイプを調べる方法について、以下の内容で解説します。

  • 筋バイオプシー法
  • MRI(磁気共鳴映像法)
  • 50m走と12分間走
  • 遺伝子検査

筋バイオプシー法

筋肉から直接、筋線維を取り出す方法です。

ヒトでは、この方法が用いられてきました。

五寸釘のような装置を、部分麻酔した場所から筋肉内に挿入します。

目的の筋肉まで挿入し、筋線維の一部分を切り取り、装置を体外に抜き取ります。

太腿の外側にある外側広筋という筋肉で調べられることが多いようです。

表面に近い所にある筋肉ですからやりやすいのでしょうね。

また、太腿の筋肉は、走ったり、ジャンプしたりと様々な動作に関連している重要な筋肉というのも、その理由です。

切り出した筋線維を特殊な薬剤で染色したり、発揮する力や速度などの力学的な特徴を調べて筋線維のタイプを分類します。

筋線維を取り出すために、身体に専用の装置を挿入するので手軽な方法とは言えません。

筋肉はもちろんのこと、血管や神経も傷つけるリスクがあります。

ただ、直接、筋肉を調べる訳なので、最も正確な方法と言えます。

MRI(磁気共鳴映像法)

成人男性を対象として、MRI画像と外側広筋の筋バイオプシーから調べた筋線維タイプとの関係性を調べた研究があります(※1)。

この研究では、MRIの測定で得られた緩和時間であるT1とT2という数値と、速筋線維の割合が密接に関係していることが報告されています。

つまり、T1とT2から速筋線維の割合を推定できるということです。

安静での測定のみで終わり、とても簡便な方法です。

しかし、MRIは病院など特別な機関でないと測定できないのが欠点ですね。

(※1)久野ら、体力科学、37、1988

50m走と12分間走

成人男性を対象として、50m走と12分間走の成績と、外側広筋の筋バイオプシーから調べた筋線維タイプとの関係性を調べた研究があります(※2)。

この研究では、50mの平均速度を12分間走の平均速度で割った値を次の式のXに代入することで、速筋線維の割合が計算できることを報告しています。

Y=-68.6+76.2X

すごいですね。

これなら、ストップウォッチがあれば測定できます。

平均速度なので、走った距離をかかった時間でわるだけです。

ただ、いずれの測定も「全力」で走ることが前提です。

手を抜いてしまっては正確な推定ができません。

精度も他の方法に比べると落ちます。

(※2)勝田ら、体育学研究、34(2)、1989

遺伝子検査

スポーツに関連する遺伝子で分類します。

例えば、ACTN3遺伝子(※)があります。

ACTN3遺伝子の多型として、RR、RX、XXの3つのタイプがあります。

スプリント・パワー系および持久系のトップアスリートの遺伝子を調べ、この3つのタイプの分布を調べました。

すると以下の結果が得られました。

  • スプリント・パワー系は、RR型、RX型を持つアスリートが多い。
  • 持久系は、XX型をもつアスリートが多い。

また、ACTN3遺伝子型と速筋線維の関係性もあるそうです。

(※)小倉・内藤、体力科学、57(1)、2008

このデータを踏まえ、RR型、RX型、XX型からスポーツ種目の適性を判断します。

ACTN3以外にも、ACE、PPARGC1Aなどの遺伝子を加えて競技種目の適性が行われています。

この遺伝子検査は、口腔粘膜を採取するだけで調べられるそうです。

最近では、検査キットもネットで販売されて、簡単に検査できるようです。

まとめ

  1. 筋線維タイプを調べる方法がいくつか開発されている。
  2. 筋バイオプシー法は、筋肉の組織を直接採取するもので、最も信頼性が高いが、筋肉はもちろん、血管や神経などを傷つけるリスクがある。
  3. MRI法は、MRIの測定のみで推定でき、簡便である。しかし、MRIは病院など特別な機関でないと測定できない。
  4. 50m走と12分間走は、手軽に測定できるが、最大努力が必要で、簡便ではあるが精度が低い。
  5. 遺伝子検査は、遺伝子多型から瞬発系か持久系かを判断する。口腔粘膜を採取するだけで手軽で、ネット申し込みで検査できる。

筋線維タイプの違いで、力やパワーの発揮、出せるスピード、持久力などが決まってきます。

自分の持っている筋線維タイプと自分がやっているスポーツがあっていないケースもないとは言えません。

こどものうちに調べ、スポーツ種目を決めるなんて時代ももう来ているのでしょうね。

ただ、多くのスポーツが筋線維タイプだけでパフォーマンスが決定するものではありません。

このこともお忘れなく。

コメント

タイトルとURLをコピーしました