「有酸素能」という言葉を知ってますか?
「有酸素」の「能力」ってことですか?
そうです!
「有酸素能」は、マラソンなどの競技者はもちろんなんですが、健康を目指す私たち一般人にも大切な能力なんです。
「有酸素能」は酸素を使って、身体が動くために必要なATPというエネルギーを作る能力のことです。
有酸素能が高いというのは、酸素を使ってたくさんのエネルギーを作ることができることを意味します。
マラソンなどの長距離種目では、とても大切な能力になります。
有酸素能を評価する指標に「最大酸素摂取量」があります。
これは、最大で取り込める酸素の量のことで、最大酸素摂取量が高いほど酸素を使ってたくさんのエネルギーが生み出せることを表しています。
つまり、「最大酸素摂取量高い=有酸素能が高い」ことになります。
長距離種目の競技成績の高い選手では、最大酸素摂取量も高い値を示すことが知られています。
一方、有酸素能は競技者だけが必要な能力ではありません。
一般人においても、健康を維持する上で、この能力は大切になってきます。
健康を維持するためには、身体の脂肪の量を適切にコントロールすることが大切です。
脂肪は酸素を用いて分解され、エネルギーを作ることができます。
有酸素能が高いということは、脂肪をたくさん使えるということにもなるのです。
一般人においても、有酸素能をしっかりと確保しておきたいですね。
そのためにも、有酸素能の指標である最大酸素摂取量を理解しておくことが大切です。
今回は、最大酸素摂取量について解説します。
最大酸素摂取量とは?
私たちの身体は、酸素を取り込みエネルギーであるATPを作って筋肉を動かしています。
これが有酸素系と言われる経路です。
有酸素系についての詳細は以下のブログを参照して下さい。
酸素を取り込める量は人によって異なりますが、どんな人にも限界があります。
そして、この酸素を取り込める最大の量のことを最大酸素摂取量と呼びます。
単位は、mL/kg/分 となります。
身体の大きさで酸素の取り込み量は影響を受けますので、体重当たりの数値として表すことが多いです。
1分当たり、体重1kg当たり、何mLの酸素が取り込まれたか、という意味です。
どうやって測定するのか
トレッドミルや自転車エルゴメータという、その場でランニングや自転車のペダリング運動ができる装置を使用します。
軽い負荷から徐々に負荷(スピードやペダルの重さ)を増加させていって、これ以上継続できない限界まで運動を行ってもらいます。
その際の酸素の取り込みの最大量を測ります。
鼻と口を覆う専用のマスクを装着して、吐き出される息を分析することで酸素がどの程度身体に取り込まれたかを知ることができます。
酸素を分析するには専用の機器が必要で、スポーツ科学系の研究所や大学、病院などでないと設置していないような特殊なものです。
ここの測定で難しいのが、限界の判断です。
限界は、運動している本人が決めるのではなく、計測しているデータで判断されます。
この判断には経験的なものも必要になりますので、訓練を積んだ測定者も必要となります。
最大酸素摂取量の値はどのくらい
酸素を多く使う長距離種目のアスリートは高い値を示します。
マラソン、距離スキーなどのナショナルクラスの選手では70〜90mL/kg/分ぐらいになると報告されています。
たくさん酸素を取り込め、たくさんのエネルギーを作ることができるから、長い距離をあんなに速く走れるんです。
一般人の場合、日常の運動状況で値は大きく変わりますが、40mL/kg/分前後の値になります。
長距離アスリートの半分程度ということですね。
また、女性の方が値が1割程度低く、年齢とともに最大酸素摂取量の値は低下していきます。
どのように活用されているのか
長距離アスリートの場合
最大酸素摂取量は競技記録と密接に関連するため、この値を高めるトレーニングを行うことになります。
この値を定期的に計測して、トレーニングの効果を検討する材料にも活用されます。
トレーニングしているにも関わらず、この値が増加してこなければ、トレーニングの内容・強度などが適切でなかったことが考えられます。
一般人の場合
・各年代の目標値
一般人の場合は、健康づくりとして、生活習慣病にならないために各年代で目標とされる最大酸素摂取量の値が示されてます。
「健康づくりのための活動基準2006」では以下のようなの基準値が定められています。
年代 | 20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 |
男性 | 40 | 38 | 37 | 34 | 33 |
女性 | 33 | 32 | 31 | 29 | 28 |
単位はmL/kg/分です。
この数値を下回るようですと、生活習慣病のリスクが高まりますので、定期的な有酸素運動の実践をしましょう!
・運動強度の基準
運動強度を考える時に最大酸素摂取量は活用されます。
運動強度は、トレーニングをする上で最も大切なものです。
有酸素運動の運動強度は、「最大酸素摂取量」を基準に設定されるからです。
例えば、脂肪を使うために効果的な運動は「最大酸素摂取量の50%の運動」という具合です。
まとめ
- 有酸素能は、酸素を使ってどれだけエネルギーを作ることができるかを表す能力で、最大酸素摂取量で評価できる。
- 有酸素能は、マラソンなどの長距離アスリートでは必須の能力であり、一般人においても健康を維持する上で大切な能力となる。
- 最大酸素摂取量の値は、長距離アスリートで70〜90 mL/kg/分、一般人で40 mL/kg/分かそれ以下の値を示す。
- 最大酸素摂取量の値は、長距離アスリートのトレーニング効果の指標として活用される。
- 一般人では、生活習慣病を予防するためにも一定基準以上の最大酸素摂取量の値を維持する必要がある。
- 最大酸素摂取量の値は、トレーニング時の運動強度の設定においても活用される。
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