こどもにはどんな運動をさせればいいの?
年齢にもよりますが、まずは楽しむことを大切にしたいですね。
こどもの体力低下が大きな社会問題となっています。
体力低下の結果は、まっすぐ走れない、ブレーキもかけずに衝突する、転んでも受け身が取れない、などの行動の変化を引き起こしていると思われます。
この原因には、こどもを取り巻く環境の大きな変化があります。
動き回って遊ぶ時間が減り、携帯、ゲーム、塾などがそれにとって変わっています。
小学生女子では1週間で運動する時間がほとんどない児童もいるようです(※)。
(※)令和3年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果
身体を適切にコントロールできることはいくつになっても大切ですよね。
何かあった際の身のこなしが、私たちの身体を危険から守ってくれます。
こういった能力の基礎はこどもの時に培われます。
また、こどもの時の運動習慣は、大人になってからの生活スタイルに影響します。
すなわち、運動しない大人が増えることに・・・
運動は、健康を維持する上では欠くことのできないものになっています。
そのためにも、こどもの時から運動に親しんでおきたいですね。
では、こどもにはどんな運動を提供すればいいのでしょうか?
この点について、以下の内容で解説します。
- 神経型の発育
- 神経系の発達に合わせた運動
- 中学校期以降
- 性差
1.神経型の発育
身体の各器官の発育は一様ではありません。
発育の度合いは、各器官を、一般型、リンパ系型、神経型、及び生殖型の4つに分け、年齢に伴う発育の程度を表したスキャモンの発育曲線から知ることができます。
→スキャモンの発育曲線は、以下を参照して下さい。
神経型に分類されている脳・脊髄は他の器官よりも早く発育し、4歳ごろには成人の80%程度に達します。
ですので、発育が著しい時期に、神経系への刺激を増やしてあげることで、機能の発達を促すことに繋がります。
2.神経系の発達に合わせた運動
神経系が発達するといっても一気に完成するわけではありません。
段階を経て、いろいろなことができるようになります。
神経系が発達する時期を2つに分けて考えます。
- プレゴールデンエイジ
- ゴールデンエイジ
・プレゴールデンエイジ
5,6歳〜8歳ごろを「プレゴールデンエイジ」と言います。
神経のネットワークが構築される時期です。
意味もなく走り回ったり、無駄な動きが多いのが特徴の時期でもあります。
この時期では、いろいろな動きを行うことが大切です。
一つの動作を繰り返すのではなく、いろいろな動きを経験することが必要です。
ただ、この時期のこどもは集中力がありません。
もともと同じ動作の繰り返しが苦手な時期なんです。
ある運動をしても、すぐに飽きてしまい、興味がなくなってしまいます。
ですから、「運動」ではなく、「遊び」ながら、その中に様々な動きが含まれるよう工夫することが大切です。
・ゴールデンエイジ
9歳〜12歳ごろは「ゴールデンエイジ」と言います。
この時期では、プレゴールデンエイジでみられた無駄な動きが消えています。
自分の身体をコントロールできるようになりますので、動きを習得するには最高の時期です。
ですから、「ゴールデン」なんですね!
この時期に覚えた動きは一生忘れないと言われています。
ただ、まだまだ集中力が続かない時期なので、遊びが中心となります。
そして、遊びから、徐々にスポーツにつなげていくような工夫が大切です。
一つのスポーツ種目に偏らず、いろいろな種目を体験させて下さい。
3.中学校期以降
神経系の機能もかなり充実する時期です。
ただ、身長や体重が急増し、身体のサイズが大きくなる時期になります。
身体のサイズが急に大きくなると、これまでできていたことがうまくできなくなってきます。
これまでの身体のコントロールではうまくいかないのです。
ですので、本人は苛立つわけですが、周りの大人はゆっくり見守りましょう。
また、この時期は、理論的な理解ができるようになります。
ですから、なぜこの練習が必要なのか?など、意味・意義をしっかり説明をしてあげましょう。
4.性差
中学校期は女子への配慮が大切です。
この前後の時期に女性ホルモンの分泌が始まる時期となります。
過激なトレーニングは無月経を引き起こし、骨の発育へ悪影響となります。
また、過度な食事制限は拒食症を引き起こす可能性があります。
十分な配慮が必要です。
まとめ
- プレゴールデンエイジ(5,6歳〜8歳ごろ)は、神経ネットワークが構築される時期なので、遊びを通していろいろな動きを体験させる。
- プレゴールデンエイジ(9歳〜12歳ごろ)は、動きを覚える最高の時期で、遊びからスポーツへと徐々に移行していく。
- 中学校期以降は、理論的な理解ができる時期なので、練習の意味・意義を説明することが大切である。
- 中学校期前後の女子は女性ホルモンの分泌と重なるので、過度な運動は避ける。
様々なスポーツで、小さなころから全国大会を目指して厳しい練習を行っているこどももいます。
勝つことはうれしいことですが、スポーツで大切なことはそれだけではありません。
小さい頃から競争主義の中に置かれ、バーンアウトしてしまうこどもも少なくありません。
また、スポーツがそういうもので、それを敬遠してしまうこどもも多いです。
すべてのこどもが競技者になるわけではありません。
また、競技者になるにしても、勝敗よりも、スポーツをすることの楽しさを感じ取ることの方が大切だと思います。
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