こどもの筋力トレーニング

健康・運動

こどもに筋トレをさせていいの?

年齢にもよりますが、過度な負荷がかからないように注意すべきです。

トレーニングは、早く始めたほどよいと思っていませんか?

そんなことはありません。

特に、発達期には注意が必要です。

筋力トレーニングは、筋肉が発達する時期以降でないと効果がありません。

それは、発育の個人差があるので一概には言えませんが、

筋力トレーニングの開始時期

12〜13歳以降に筋力トレーニングを開始(個人差に注意)

この時期から始めると言っても、過度なトレーニングは厳禁です。

今回は、この点について以下の内容で解説します。

  1. 身体の発育
  2. 筋肉の発達
  3. 過度なトレーニングには注意
  4. 個人差
  5. 本格的なトレーニング

1.身体の発育

身体の各器官の発育は一様ではありません。

早く発達するものあれば、遅れて発達するものもあります。

各器官を、一般型、リンパ系型、神経型、及び生殖型の4つに分け、年齢に伴う発育の程度を表した「スキャモンの発育曲線」というものがあります。

  • 一般型 :身長などの全身的な形態、骨格系など
  • リンパ系型:胸腺、リンパ節、扁桃など
  • 神経型 :脳、脊髄など
  • 生殖型 :生殖器

スキャモンの発育曲線によると、神経型が最も早く発達し、4歳ごろには成人の80%程度に達します。

一方、一般型や生殖型は、12〜13歳ごろに成人のそれぞれ50%、10%程度で、これ以降、急激に発達していきます。

このように、各器官の発達が一様でないために、成人して身体が完成するまではトレーニングの内容に注意が必要となります。

2.筋肉の発達

筋肉は筋線維が束になってできています。

また、その筋線維は、遅筋線維と速筋線維に分類することができます。

遅筋線維は、長距離走などの持久的な運動に適した筋線維タイプです。

一方、速筋線維は、短距離走などの瞬発的な運動に適した筋線維タイプとなります。

2つの筋線維タイプについても、発育のタイミングが異なっています。

・筋線維の発達

遅筋線維は、幼児期〜小学校期に発達しますが、速筋線維は中学校期ごろになります。

筋線維でも、タイプによって発達のタイミングが異なるんですね。

速筋線維の発達のタイミングは、身長の変化を捉えることで知ることができます。

身長も筋肉も一般型に分類されます。

・PHV年齢

筋肉の発達は計測することが難しいですが、身長は簡単に計測できます。

身長の伸びの変化をグラフにすると、10歳〜15歳ぐらいで最も伸びる年齢が現れます。

この年齢を「PHV年齢」と言います。

PHV年齢は、一般的に、男子12.8歳ごろ、女子で10.6歳ごろになります。

そして、速筋線維はPHV年齢以降に発達します。

速筋線維の発達には、男性ホルモンが深く関わっていますので、生殖型の発達のタイミングとも重なります。

速筋線維が発達することで、それと平行して筋力も増加してきます。

・筋線維のタイプに合わせたトレーニング時期

以上のことから、次のようなトレーニングのタイミングが提案できます。

筋線維のタイプに合わせたトレーニン時期
  • 小学校期に持久的なトレーニングを開始
  • PHV年齢以降に筋力トレーニングを開始

筋力トレーニングを小学校期に一生懸命やっても、効果的ではないのです。

トレーニングの開始のタイミングは上記の通りですが、激しいトレーニングは禁物です。

3.過度なトレーニングには注意

発達段階にある器官に過度の負担をかけることは、発達を妨げる要因にもなります。

特に、筋肉や骨は注意が必要です。

中学校期は、速筋線維が発達してきますので、筋力トレーニングを実施するには良いタイミングとなります。

しかし、身長が急激に伸びることから、骨も急激に発達します。

筋力トレーニングで強い負荷をかけ過ぎると、骨の発達を妨げる危険性があります。

また、過度な負担が骨にかかることで、痛みが生じることもしばしば起こります。

この時期に頻発する整形外科的なトラブルとしてオスグッド病が有名ですね。

これは、脛骨結節(お皿の下の骨)が突出して痛みが生じます。

大腿四頭筋が繰り返し大きな力を出すことによって生じます。

このように、この時期はいわゆる成長痛が生じやすいのです。

ですので、過度な負荷をかけ過ぎないことが大切です。

自体重などを利用した負荷で、痛みがある場合は無理に実施しないなどの配慮が必要です。

4.個人差

発達にはかなりの個人差があります。

中学期に身長が伸びる人もいれば、高校期に急激に伸びる人もいます。

ですから、筋力トレーニングについても、一律に考えてはいけません。

あくまでも、PHV年齢を参考にしながら、各個人の発育に合わせて考えていくことが大切です。

5.本格的なトレーニング

発達している時期では、自体重を用いたトレーニングなどで十分です。

マシーンなどを用いた本格的なトレーニングは、20歳以降からで良いと考えます。

この時期に、身体の全ての器官が完成し、身体的に最も充実した時期に入るからです。

早い時期に、本格的な筋力トレーニングをやっても、効果(筋肥大)が得られづらいばかりかケガのもとになるからです。

まとめ

  • 身体の発達は、器官で異なる。
  • 神経系が最も早く発達し、骨や筋肉は、12〜13歳ぐらいから発達し始める。
  • 筋肉でも、筋線維タイプで発達のタイミングが異なり、速筋線維はPHV年齢以降に発達する。
  • 速筋線維が発達する時期は、骨の発達する時期と一致し、過度な筋力トレーニングは骨の発達を妨げ、ケガを誘発する。
  • 発達には個人差があるので、PHV年齢を参考に、トレーニングのタイミングを調整する。
  • 本格的なトレーニングは身体の各器官が完成する20歳以降から始める。

過度なトレーニングは、身体にも良くありませんし、メンタルにも負担が大きいですね。

まずは、いろいろな運動を楽しむことから始めましょう!

コメント

タイトルとURLをコピーしました