夏は、今まで走れていた距離走れないんです。
なぜですか?
体温を下げるために余分なエネルギーが使われているからです。
夏は、これまで走ってきた距離走れない、同じ運動しているのに疲れる・・・
そんな経験ありませんか?
これは、急に体力が落ちたわけではありません。
夏は、冬にはない特殊な事情があります。
それは気温の上昇です。
運動自体、体温を上げますが、それにプラス気温が影響していきます。
その分、体温の上昇が大きいと言うことです。
私たちは体温が上がりすぎると、命が危険な状況になります。
なので、とにかく体温を適切な温度まで下げなければなりません。
体温を下げるために私たちはエネルギーを使っています。
それまでして、体温を下げることが必要なんですね。
筋肉のために使われるエネルギーが削られてしまいます。
その結果、冬に比べて、夏場は走行距離が低下してしまうのです。
今回は、このことを以下の2点から解説します。
- 身体の熱を放出する方法
- 運動中の熱の放出
1.身体の熱を放出する方法
身体が熱を放出する方法には以下のものがあります。
伝導
皮膚から空気に熱を移動させる方法です。
対流
皮膚に接している空気を暖め(伝導)、この空気が風により運びされ新たな空気を入れ替わることで熱を放出する方法です。
放射
熱エネルギーが電磁波として放出される方法です。
む〜、難しいですね。
例えば、太陽が暖かく(暑く)感じるのはこのためです。
蒸発
体表面から液体(汗など)が蒸発することによって熱を奪う方法です。
夏、庭などに水をまくと涼しくなるのもこれを利用したものです。
対流は、風がある時には有効ですが、無風だと熱の放出が難しくなります。
蒸発は、流れ出た汗が蒸発できればいいのですが、湿度が高いと蒸発できなくなります。
蒸発できず流れ落ちる汗は、熱の放出には貢献できません。
このように、高温・多湿で無風時は体温調節が非常に難しいのです。
日本の夏にはよくありそうな状況ですね。
2.運動中の熱の放出
血流配分
身体を流れる血液量には限りがあります。
ですので、必要なところに多く、あまり必要ないところには少なくする調節が行われています。
これは自律神経によって行われてます。
食後は、胃腸など消化器系に血液量を増やします。
運動をすれば、筋肉に重点的に血液を配分します。
最大運動では、90%近くの血液が筋肉に集中します。
高温環境での血流配分
気温が高い中で運動をすると、体温が上がります。
特に重要なのが、身体の中心部の体温です。
脇の下で測る体温や鼓膜温がそれにあたります。
運動をすると筋肉が熱を発生し、それに気温が加算され、体温が上がります。
身体は、中心部の体温を36〜41℃*)の一定の幅に保つようになっています。
これを超えて、体温が上昇してしまうと、身体の様々な機能不全が生じ、危険な状態となります。
そうならないよう、身体の温度を下げる働きが上記の方法です。
伝導では、身体の中心部で暖められた血液を皮膚表面に移動させることでなされます。
ここで、血液→皮膚→空気に熱を順に移動させるのです。
このように、血液が筋肉でなく皮膚にいってしまうと、その分、筋肉に運搬できる酸素や栄養が減ってしまいます。
それでは運動の継続が困難になるので、心拍数を増やして、筋肉への酸素量や栄養を増やそうとする訳です。
ですから、同じ運動していても、気温が高いと心拍数が高くなってしまいます。
また、心拍数を上げるために心臓が余分に収縮するため、また発汗のためにエネルギーが使われたりエネルギー消費量が増加してしまいます。
同じ運動をしていても心拍数が上がり、きつく感じるのです。
*)運動生理学概論、浅野ら、杏林書院
まとめ
- 気温が高い時は、これまでと同じ距離を走るのがつらく、同一の運動をしていてもきつく感じる。
- 気温が高い時は、中心部の体温を下げるために、皮膚への血流量を増やす。
- 皮膚への血流量が増えると、筋肉への血液量が減るため、それを補うために心拍数を増加させる。
- 心拍数を増やしたり、汗をかくために余分なエネルギーを消費して疲れやすくなる。
- 同じ運動をしていても心拍数が増加するためきつく感じる。
今回説明したようなことで、夏は運動量が低下しがちです。
運動量を確保するためにも、環境が整った場所、例えばスポーツジムなどを活用するのもよい解決策です。
お試し下さい。
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