血圧は身近な生体情報の一つですね。
血圧計は必要ですが、比較的安価で、計測においても特別な技術は必要ではありません。
中高齢者では、毎日、計測することが勧められています。
なぜなら、年齢とともに血圧は上昇する傾向にあり、中高齢者では高血圧の方も多いからです。
ですから、日頃から血圧をチェックすることが大切なんです。
しかし、血圧というと、高いと良くないことは知っていても、血圧自体よく知らない方も多いのでは。
血圧のことを正しく理解することは、血圧と正しく付き合っていく上で大切になります。
今回は、以下の内容で血圧について解説したいと思います。
- 血管を広げる圧力
- 血圧
- 高血圧と運動
血管を広げる圧力
管の中を液体(水や血液)が流れると、管を押し広げる圧力が作用します。(下図)
この押し広げる圧力が血圧です。
動脈の血圧は、おおよそ80〜120mmHgの範囲で変動します。
値が変動するのは、心臓の動きと関連しているからです。
心臓から全身に血液が送り出されている時、血圧は最も高くなります。
この値を最高血圧(あるいは、収縮期血圧)と言います。
一方、全身から血液が心臓に戻って来ている時、血圧は最も低くなります。
この値を最低血圧(あるいは、拡張期血圧)と言います。
わたしたちの健康に関連し、普段から計測しているのが動脈の血圧になります。
以下、動脈の血圧のことを「血圧」と表記します。
ちなみに、血管には静脈もあります。
静脈の血圧は、おおよそ5〜25mmHgと動脈と比べてかなり低いのがわかります。
血圧
血圧は次のように表すことができます。
平均の血圧=心拍出量✕総末梢血管抵抗 ・・・式1
・心拍出量
心臓から1分間に送り出される血液の量のことで、以下のように計算されます。
心拍出量=心拍数✕1回拍出量 ・・・式2
1回拍出量は、心臓が1回収縮して送り出される血液量です。
・総末梢血管抵抗
全身の血管の抵抗を合計したものです。
血管抵抗は、血液の流れやすさの程度を表しています。
抵抗が低ければ血液の流れはスムーズですが、抵抗が高ければ血液は流れにくくなります。
この血管抵抗は、血液の「粘性」と「血管径」などに影響を受けます。
「粘性」とはドロドロ度のことで、粘性が高いと血液はドロドロしていて流れにくくなります。
「血管径」は血管の太さで、太いと血液は流れやすく、細いと流れにくくなります。
運動と血圧
運動は血圧を上昇させます。
これは、運動が心拍数と1回拍出量を増加させ、心拍出量が増加するためです(式2)。
その結果、血圧が上昇することになります(式1)。
ですから、高血圧の方が運動するとさらに血圧が上昇し、危険な状態になるリスクがあります。
実施する場合は、ドクターの指導のもとで行うようにして下さい。
食事と血圧
・塩分
塩分を過剰摂取すると、血液中の塩分濃度が上がります。
このような状況は、身体にとっては望ましくありません。
それを元の状態に戻すために、水分が血管内に移動し、塩分濃度を薄めるのです。
しかし、血液量が増加し、心拍出量の増加することで血圧が上昇してしまいます。(式1)
・脂肪・コレステロール
脂肪やコレステロールの多い食事を摂取すると次のことが生じます。
・血液の粘性が上がる(血液がドロドロになる)
・血管径が狭くなる(血液が流れにくくなる)
これらが原因となって血管抵抗が上がり、血圧が上昇してしまうことになります(式1)。
高血圧と運動
運動は血圧を上昇させるため、実施においてはリスクを伴います。
しかし、有酸素運動を継続することで、高血圧が改善されることも事実です。
有酸素運動で高血圧が改善される理由は以下のようなものがあります。
・血液成分の改善
・血管抵抗の改善
・自律神経系の改善 など
有酸素運動の実践で、悪玉(LDL)コレステロールが減少し、善玉(HDL)コレステロールが増加します。
また、血液中の中性脂肪が減少します。
これらの血液成分の改善により、血管抵抗が減り、血液が流れやすくなります。
また、高血圧の人は、安静時においても交感神経が過剰に働いています。
血圧が正常な人では、主に副交感神経が作用しています。
交感神経は血管を収縮させて血圧を上げる作用をします。
有酸素運動を実践することで、安静時の過剰な交感神経の活動が抑えられるようになります。
その結果、血圧が下がるのです。
ですから、高血圧の人でも有酸素運動を実施することは大変意義のあることなのです。
ただ、一方でリスクもありますので、ドクターの指導のもと、安全を十分確保した状態で実践して下さい。
まとめ
- 血管の中を血液が流れる際に血管を押し広げる圧力が血圧である。
- 血圧は、心拍出量と総末梢血管抵抗に影響される。
- 塩分の過剰摂取や運動は心拍出量を増加させて血圧を上昇させる。
- 脂肪やコレステロールの過剰摂取は、血液の粘性を上げ、血管抵抗を増加させて血圧を上昇させる。
- 有酸素運動は、血液成分、血管抵抗、自律神経の作用を改善することで、降圧効果が期待できる。
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