肥満を予防するたには、エネルギーを消費することが大切です。
飽食の現代、エネルギーを多く含んだ食べ物で溢れています。
一方、電化製品、乗り物などの便利な機器が発達し、明らかに以前よりもエネルギーを使わない世の中になっています。
ですので、現代は、エネルギーを使うことを意識しないと、エネルギーがどんどん身体に溜まっていってしまいます。
結果的に肥満となり、健康が維持できません。
ところで、私たちはどんなことにエネルギーを消費しているのでしょうか?
それを知ることで、エネルギーを消費する方法について考えてみましょう。
総エネルギー消費量
私たちが1日に消費しているエネルギーの総量を「総エネルギー消費量」と言います。
肥満を予防・改善するためには、この量を多くすることが大切になります。
この総エネルギー消費量は、以下の要素に分類されます。
- 基礎代謝量
- 食事誘発性熱産生
- 活動時代謝量
それぞれについて見ていくことにします。
基礎代謝量
私たちが生きていく上で必要な最小限のエネルギー消費量になります。
心臓を動かしたり、呼吸するために筋肉を動かしたり、体温を維持したり・・・
じっとしていても、結構いろんなところでエネルギーが使われています。
基礎代謝量の計測は、以下のような非常に厳しい条件で行われます。
日本人では、総エネルギー消費量の内、基礎代謝量の占める割合は約60%です。
半分以上が基礎代謝量なんですね。
安静時のエネルギー消費量の内、多く消費している組織・臓器のベスト3は次の通りです。
- 骨格筋 21.6%
- 肝臓 21.3%
- 脳 19.9%
骨格筋は手足についている筋肉です。
安静時にもエネルギーを消費しているのです。
それに比べ、脂肪組織は4%と骨格筋の1/5程度です。
トレーニング状況にもよりますが、骨格筋は体重の40%程度あります。
70kgの成人で骨格筋は28kgです。
一方、脳は成人で1.4kgです。
脳は、体重の2%の重量しかないのに、20%近くもエネルギーを消費しているのです。
安静時でも、かなり活発に活動していることが伺えます。
食事誘発性熱産生
食後に、食物を消化・吸収・運搬するためにエネルギーが使われます。
摂取したエネルギーの6〜10%程度だと言われています。
しかし、食べたものによって、消費されるエネルギー量が異なります。
たんぱく質だと、摂取したエネルギーの20〜30%です。
糖質では8%、脂質では2%程度だとされています。
活動時代謝量
運動にだけでなく、様々な活動・動作で消費されるエネルギー量です。
歯磨き、料理、洗濯、掃除、犬の散歩、通勤での歩行、階段昇降、スポーツなど。
唯一、自分でコントロールできるエネルギー消費量とも言えます。
総消費エネルギーを増やす方法
個人の状況で変動しますが、総消費エネルギーはおおよそ次のような割合で構成されています。
食事誘発性熱産生は食事内容で変わりますが、日々の食事で大きく変わることはありません。
基礎代謝量はエネルギー消費量の土台となる部分です。
この部分を増やせると土台が増える訳なので、総消費エネルギーの増加が期待できます。
基礎代謝量で増やすことができるのは、筋肉量です。
ただ、筋肉1kgの増加で1日のエネルギー消費量の増加は13kcalです。
筋肉量を増やして、基礎代謝量を増やしたいところですが、劇的な効果はなさそうです。
しかし、増やすことはあっても、減らしたくないものです。
私たちが、もっとも手軽にコントロールできるのが活動時代謝量です。
これを増やすことを考えるのが、総消費エネルギーを増加させる上では最も大切になります。
日頃、歩く、階段を使う、座位時間を減らす、などのちょっとした心がけで増やすことができます。
「塵も積もれば山となる」ですね。
加齢・運動不足は注意
加齢では、筋肉の機能の低下や量が減少するサルコペニア(加齢性筋減弱症)が問題となります。
筋肉量が減ることで、基礎代謝量の低下につながります。
さらに、筋肉量が減ることで、活動量が低下します。
動いてもすぐに疲れてしまうという訳です。
さらに、活動量の低下は食事誘発性熱産生も低下させるのです。
こうなると、総消費エネルギーは減少の一途です。
もちろん、若い人でも運動不足であれば同じことが生じます。
ですから、日頃から活動量を増やし、筋肉量を維持するよう心がけることが大切です。
まとめ
- 1日に消費しているエネルギーの総量を「総エネルギー消費量」と言う。
- 総エネルギー消費は、基礎代謝量、食事誘発性熱産生、活動時代謝量に分けられる。
- 基礎代謝量は、生きていく上で必要な最小限のエネルギー消費量で、総エネルギー消費量の60%を占める。
- 食事誘発性熱産生は、食後に、食物を消化・吸収・運搬するためにエネルギー消費量で、総エネルギー消費の10%を占める。
- 様々な活動・動作・運動で消費されるエネルギー量で、総エネルギー消費量の30%を占める。
- 筋肉量を増やすことで総エネルギー消費に貢献する割合は多くはない。
- 運動など活動量を増やして、総エネルギー消費を増加させる必要がある。
総エネルギー消費を増やして、健康的な生活を送りましょう!
参考資料
- 健康運動指導士 養成講習会テキスト、2016
- 田中・中田、体力科学66(3)、2017
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