動的ストレッチって?

いろいろ

ストレッチには種類があると聞いたのですが?

はい、いくつか種類がありますので目的に応じて使い分ける必要があります。

ストレッチは、正式には「ストレッチング」といいます。

ストレッチの目的としては、アスリートと一般人では少し異なります。

ストレッチの目的:アスリート
  • コンディショニング
  • 障害予防(再発予防)
  • リハビリテーション
ストレッチの目的:一般人
  • 疲労回復
  • 柔軟性の向上
  • ウォーミングアップやクーリングダウンの一部

いずれにしても、最近、スポーツ場面でストレッチをしている人の姿は頻繁に見かける光景です。

このストレッチは、1970年代にアメリカの研究者がその効果を紹介したことと、ボブ・アンダーソンが「STRECHING」(1975年)という本を世に出したことで大変有名になりました。

その後、日本にも紹介され、学校体育や様々なスポーツ場面で実施されるに至っています。

ただ、ストレッチと言っても種類があり、その目的や実施するタイミングが異なります。

ストレッチは、大きく分けて次の2種類に分類されます。

  • 静的ストレッチ
  • 動的ストレッチ

静的ストレッチは、関節運動を伴わずに筋肉を「静的」に伸ばすストレッチです。

反動などを使わず、痛みが生じない範囲で筋肉を伸ばしていきます。

一方、動的ストレッチは、関節運動を伴い筋肉を動かしながら「動的」に伸ばすストレッチです。

動的ストレッチは、練習や試合前に筋肉が最大のパフォーマンスを発揮できるよう準備のために実施します。

コンディショニングや障害予防を目的としています。

ですので、動的ストレッチはアスリート向けのストレッチと言えます。

今回は、動的ストレッチについて以下の内容で解説します。

  • 神経ー筋の科学的知識
  • 動的ストレッチの種類

神経ー筋の科学的知識

ストレッチを科学的に理解する上で、神経ー筋の知識が必要になります。

ストレッチに関わる神経ー筋の科学的知識は2点です。

  • 伸張反射
  • 相反抑制

この2点を理解しておくと、ストレッチをよりよく理解できるようになります。

・伸張反射

筋肉が素早く伸張されると、反射的に伸ばされた筋肉を収縮させる仕組みです。

筋肉の中には、自身の長さをモニターするセンサーがあります。

筋肉が素早く伸ばされると、このセンサーが感知して、伸ばされた筋肉を縮める命令が送られるのです。

これは、反射的に生じますので、意識する・意識しないに関係なく生じます。

筋肉が切れないよう防御しているのです。

・相反抑制

主働筋が収縮している際に、その拮抗筋が弛緩することで動作がスムーズに行える仕組みです。

ちょっと難しい表現ですが、膝を伸ばすことを例に説明します。

膝を伸ばす際、太腿の筋肉である大腿四頭筋を動かします。

膝を伸ばす運動において主に働く筋肉なので、大腿四頭筋は主働筋になります。

この時、ハムストリングスが動いてしまうと、膝がスムーズに伸びません。

というのは、ハムストリングスは膝を曲げる筋肉で、大腿四頭筋とは反対の作用をします。

反対の作用のことを拮抗作用といい、ハムストリングスは拮抗筋となる訳です。

そのため、拮抗筋には、動かないよう抑制する命令がいきます。

これによって、膝を伸ばす運動がスムーズにできるのです。

動的ストレッチの種類

動的ストレッチはさらに以下の2つに分類されます。

  • ダイナミック・ストレッチ
  • バリスティック・ストレッチ

・ダイナミック・ストレッチ

反動をつけず、速度をコントロールしながら行うストレッチです。

そして、相反抑制を利用したストレッチです。

まず、対象となる、伸ばしたい筋肉と反対側にある筋肉を何度か動かします。

そうすることで、相反抑制が生じ、対象の筋肉の緊張が取り除かれます。

その後、対象の筋肉を伸ばすことで、より筋肉を伸ばすことができるのです。

ただ、正しく実施しないと伸張反射を引き起こしてしまいますので注意が必要です。

・バリスティック・ストレッチ

弾みや反動をつけながら素早く行うストレッチです。

反動をつけたアキレス腱を伸ばすストレッチがこれに当たります。

バリスティック・ストレッチでは、伸張反射を積極的に利用します。

競技場面では、伸張反射を利用して爆発的なパワーを生み出しています。

そのため、伸張反射をメインの運動中に利用できるよう、ウォーミングアップの段階で練習しておく訳です。

ただ、いきなり実施するには筋肉への衝撃が大きすぎます。

ダイナミック・ストレッチや軽いジョグイングなどした後、筋肉が温まった状態で実施することをオススメします。

また、実施にあたっては、伸張反射により筋肉を痛めるリスクがあることは十分理解しておいてください。

伸張反射は、筋肉が切れないようにするための防御作用です。

しかし、筋肉が急に縮むことで、筋肉が骨と付着している部位に大きなストレスをかけることになります。

このため、筋・腱が傷つけられることがあるのです。

まとめ

  1. ストレッチには、静的ストレッチと動的ストレッチがある。
  2. 動的ストレッチには、さらに、ダイナミック・ストレッチとバリスティック・ストレッチがある。
  3. ダイナミック・ストレッチは、反動を使わず動作スピードをコントロールして行い、相反抑制を利用したストレッチである。
  4. バリスティック・ストレッチは、弾みや反動をつけながら素早く行うストレッチで、伸張反射を積極的に利用するものである。
  5. 目的に合わせて、適切なストレッチを実施する必要がある。

動的ストレッチはアスリート向けで、メインの運動前に実施するものです。

ですので、一般人は無理に行う必要はありません。

また、クーリングダウンでは、疲労回復などのコンディショニングが主な目的になりますので、アスリートも一般人も静的ストレッチを実施しましょう。

参考文献

  • 健康運動指導士養成講習会テキスト、2016
  • 公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト6 予防とコンディショニング、2020

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