信号が赤から青に変わったのにすぐに一歩がでない・・・
わかってはいるんだけど、身体が反応しないんだよね。
そのままにしておくと、高齢になったときに転倒リスクが高まります。
転倒ぐらいなら、たいしたことないんじゃあ?
簡単に考えてはいけませんよ。
高齢者の転倒は骨折に直結し、そのまま寝たきりになってしまいます。
そうならないためにも、筋肉を鍛えることが大切です。
今回は、「とっさの一歩」について解説します。
反応を起こすまでの時間
反応時間という言葉を知っていますか?
ライトが光ったり、音が鳴ってからどれだけ素早く身体を動かせるかを測った時間のことです。
ピストルが鳴ってからスタートする短距離走。
まさしく、それです。
反射神経のことね!
いえいえ、「反射」ではありません。
「ライトが光った」あるいは「音が鳴った」と大脳で判断してから筋肉を動かす命令を出します。
この判断があるものは「反応」なのです。
陸上の100mでも、ピストルの音を聞き分けて筋肉を動かします。
一方、「反射」の場合は、刺激が入ったら、大脳での判断を介さず筋肉が動きます。
判断があるか、ないか。
細かいようですが、これが大事です。
私たちの日常生活では、いろいろな刺激に対して脳で判断して行動を起こします。
ですので、反応時間は大切なんですね。
反応時間はどのくらい?
ライトが光ったらジャンプをする。
これがよく使われる測定方法で、全身反応時間といいます。
身体全体を動かすのでイメージできますよね。
測定には、専用の装置が必要です。
装置の原理自体は簡単なのですが、どこでも簡単に測定できるものではないようです。
ライトが光ってからジャンプするまでの時間は、一般人で図のようになります(*)。
20歳男性で358 [msec]です。
[msec] は1/1000秒のことなので、0.358秒ということになります。
ライトが引かてから1秒の1/3程度で動き出すんですね。
一般的に、女性よりも男性で早く、老化とともに遅くなってきます。
アスリートはどうなると思いますか?
古いデータになりますが、猪飼ら(1961)の報告では、
日本短距離選手において男子で283 [msec]、女子で317[msec]です。
ただ、このデータは音が鳴ってからの全身反応時間なので、少し早くなっています。
実は、この全身反応時間、高齢者では転倒との関連が確認されています。
80歳前後の高齢者の反応時間を、転倒を経験した高齢者とそうでない高齢者で比較した研究があります(田井中と青木、2007)。
転倒なしの高齢者で464 [msec]と、転倒経験者の523 [msec]よりも短い値でした。
バランスを崩した時に、素早く一歩踏み出せるかどうかが転倒に関係してくるのです。
どうすればいいか
高齢者の場合、骨が弱くなっているため、転倒は骨折と直結します。
骨折しても、なかなかくっつかない。
そして、寝たきりになってしまうのです。
ですから、なんとか転倒を防ぎたいのです。
全身反応時間は次の2つの要因が関係してきます。
- 神経要因
- 筋肉要因
神経要因とは、光を目で受け取ってから、筋肉を動かす命令が伝わるまでの時間です。
一方、筋肉要因は、命令が到着してから筋肉を動かしてジャンプさせる時間です。
どちらの要因も、老化によって低下していきます。
しかし、筋肉要因はトレーニングよって老化のスピードを低下させることができるのです。
それには、筋トレです。
筋トレによって、筋肉の内、速筋線維を鍛えることができます。
速筋線維は、その名の通り、素早く動く筋肉で、大きな力を出すのも得意としています。
バランスを崩した場合、速筋線維が素早く身体を動かすことを可能にしてくれます。
また、体重を支えるためにも筋力が必要です。
速筋線維は老化とともに低下していってしまいます。
しかし、高齢者であっても、筋トレをすれば速筋線維を鍛えることができるのです。
信号が青に変わった時に素早い一歩が踏み出せないあなた、筋トレを始めてみませんか?
遅すぎることはありませんよ。
まとめ
(*) https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tairyoku-kiki/zenshin-tannou-soutei.html
コメント