全力疾走した後、すぐに座って休んでいたら、しばらく歩くように注意されました。
そうなんです。しばらく歩かないと、回復が遅れるのと、気持ちが悪くなるなどの症状が出てしまうこともあります。
全力で走ったあとなど、激しい運動をした直後は立ち止まったり、すぐに寝転がって休みたいですよね。
ですが、実はそれはとても危険なんです。
筋肉、特に、足の筋肉の動きがなくなってしまうと、心臓に戻る血液量が減ってしまいます。
そのため、筋肉への酸素の供給が遅れ、回復も遅れてしまいます。
また、少ない血液で心臓が収縮することで、吐き気、めまいや立ちくらみなどの症状がでることもあります。
では、足の筋肉の動きと心臓に戻る血液量にはどんな関係があるのでしょうか?
実は、下肢にある静脈血は、足の筋肉の動きで心臓に戻されているのです。
このような働きがあるので、激しい運動後はしばらく動き続けた方がよいのです。
今回は、この点について以下の内容で解説します。
- 血液の流れ
- 血液が溜まりやすい静脈
- 足の筋肉によってつくり出される血液の流れ
- クーリングダウン
血液の流れ
血液が循環できるのは、心臓のポンプ作用のお陰です。
心臓は力強く収縮することで、血液が勢いよく血管を流れることができます。
血液が流れる管である血管には2種類あります。
- 動脈
- 静脈
・動脈
動脈では、勢いよく血液が流れていますので、血管には強い力が加えられます。
血管に加えられた力が血圧になります。
動脈では、最高で110mmHg、最低で70mmHgほどの力が加えられます。
ですので、血管が破れないよう動脈は壁が厚くできています。
・静脈
筋肉では、血管は髪の毛ほどの細い毛細血管になり、酸素や栄養を筋肉に供給します。
その後、静脈となります。
酸素や栄養が効率よく筋肉に供給できるよう、毛細血管での血液の流れはとてもゆっくりになります。
ですので、静脈を流れる血液もゆっくりになるのです。
静脈での血圧は、10mmHgほどに低下、変動もほとんどなくなってしまいます。
このように、血圧が低いため、静脈の血管の壁は動脈に比べると薄くなります。
静脈の最大の特徴は、血管内に弁がついていることです。
これは、血液が逆流するのを防いでくれます。
血液が溜まりやすい静脈
静脈は血液の流れがほとんどありません。
ですから、立位姿勢では、下肢にいった血液が心臓に戻るのは至難の業です。
重力のためです。
特に、地面に近い足からみれば、心臓は遥か上方です。
天井から吊るされたループに腕だけで上っていくようなもので、かなり大変です。
なので、立ったままだと血液が足に溜まり、むくんでくるのです。
足はむくみやすいのです。
足の筋肉によってつくり出される血液の流れ
静脈の血液が心臓に戻るためには、2つの働きが必要になります。
- 筋肉の収縮
- 弁
・筋肉の収縮
筋肉は収縮すると真ん中あたりが膨らみます。
力こぶを思い出してください。
静脈は足の筋肉の間にあります。
足の筋肉が収縮して膨らむと血管を押しつぶす力となります。
この力で、血管内の血液に流れが生まれるのです。
これを筋のポンプ作用といいます。
・弁
筋肉の働きで静脈血の流れが生まれますが、ここで問題になるのが逆流です。
そこで、静脈にのみある弁が役立つのです。
静脈にある弁は、一方向、心臓の方向にのみ開くようになっています。
なので、逆流しようとする血液には弁が閉じて流れないようにしているのです。
このような仕組みで静脈の血液が心臓に戻っていくのです。
動脈は心臓の収縮によって、静脈は足の筋肉の収縮で血液の流れが生み出されています。
そのため、足は「第二の心臓」と呼ばれているのです。
クーリングダウン
激しい運動直後では、心臓は激しく動き、血液を全身に送っています。
この際、足を止めてしまうと、筋のポンプ作用が機能せず、下肢からの血液がなかなか心臓に戻っていけなくなってしまうのです。
心臓に十分な血液が戻らない状態で、心臓が収縮を続けることになります。
これによって、全身への血液の供給量が低下し、吐き気、めまいや立ちくらみなどの症状がでることもあります。
これでは、運動からの回復も遅れてしまいます。
ですから、激しい運動後は、しばらく軽いジョギングや歩くなどをして足の筋肉を動かし続けることが大切です。
これが、運動後にクーリングダウンを行う大きな目的の一つです。
まとめ
- 動脈の血液の流れは心臓によって生み出されている。
- 動脈の血液の流れは早く、そのため血管に大きな力が加わるため血管の壁は厚い。
- 静脈の血液の流れはゆっくりで、血管の壁は薄いが、血液の逆流を防ぐ弁がある。
- 静脈の血液の流れは、足の筋肉の収縮で生み出されて、弁の働きで心臓に向けての血液の流れが作られる。
- 激しい運動は、しばらく歩いたりジョギングなどをして、足の筋肉の動きを止めないようにする。
激しい運動を行うために、身体は様々な機能をフル稼働しています。
終了後は、それらを少しずつ元の状態に戻していくのです。
ですので、クーリングダウンにもしっかり時間をかけてあげましょう。
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