大腰筋ってどんな筋肉なんですか?
太ももを持ち上げる筋肉で、歩いたり、走ったりする際に活躍しています。
大腰筋は、短距離系アスリートにとって重要な筋肉ということで有名になりました。
その後、健康的な生活を送るためにも、この筋肉が大切であることが分かってきたのです。
大腰筋は、太ももを持ち上げる筋肉ですので、歩行時の脚の持ち上げで活動します。
ですから、この筋肉が弱くなると、脚が十分に持ち上げられなくなることで物につまずきやすくなり、転倒の原因になります。
高齢者の転倒は寝たきりと直結しますので、大腰筋のトレーニングで予防する必要があります。
大腰筋は、もも上げのような動きで鍛えられます。
今回は、以下の内容で大腰筋について解説します。
- 大腰筋の場所と働き
- 大腰筋の面積の計測
- 短距離系アスリートの大腰筋
- 大腰筋と健康
- 大腰筋のトレーニング
大腰筋の場所と働き
大腰筋は、太ももにある大腿骨と背骨(脊椎)をつないでいる筋肉です。
大腰筋は、身体の深部にあるので、直接触れるのは難しいです。
この筋肉が動くと、太ももを持ち上げる動作が生じます。
普段の生活の中では、歩行や走行時に下肢を持ち上げるために活躍しています。
大腰筋の面積の計測
近年は、測定機器が発達して、非侵襲的に体内の状況を調べられるようになりました。
非侵襲というのは、身体を傷つけないということです。
普通、身体内部を観察するためには、身体を傷つけ、身体内部にセンサなどを入れて調べます。
超音波、MRI(磁気共鳴画像)やCT(コンピュータ断層撮影)などで、それが可能です。
これらの機器は、体内の物質と物質の境界を判別できるようになります。
それによって、脂肪、筋肉、そして骨などを判別できるようになりました。
さらに、筋肉も筋肉ごとに分類でき、大腰筋の横断面積も計測できるようになっています。
短距離系アスリートの大腰筋
MRIなどの機器を用いて、いろんな種目のアスリートの筋肉が細かく調べられるようになりました。
その中で、短距離系アスリートの大腰筋が有名になりました。
それは、トップスプリンターの大腰筋の横断面積を測ったところ、とてつもなく大きいことが判明したからなのです。
さらに、大腰筋の筋横断面積が大きい選手ほど100m走タイムが速いという関係も見られました。
大腰筋と健康
一方、高齢者では大腰筋の横断面積が小さく、弱くなっていくことがわかりました。
大腰筋は、大腿骨を持ち上げる筋肉です。
この筋肉が弱くなることは、脚が持ち上がらず、すり足になります。
大腰筋の面積は歩行速度と関連しますが、すり足になってしまうことも歩行速度が低下する原因となります。
すり足はつまずきの原因となり、転倒の確率が上がります。
高齢者の転倒は大きな問題です。
それは、骨折につながるからです。
高齢者が骨折すると、なかなか治りません。
骨折部分を固定しますから、活動量が低下し、それが筋肉量の低下につながります。
そして、寝たきりに。
寝たきりになると、ますます筋肉量は低下し、骨も弱くなります。
このような負のスパイラルに陥ることになります。
大腰筋のトレーニング
骨折を防ぐためには、まずは転倒を防ぐことです。
転倒を防ぐためには、筋力を増加させることです。
特に、脚を持ち上げる大腰筋の筋力アップが大切です。
では、どうやって大腰筋を鍛えることができるのでしょうか?
大腰筋は、脚を持ち上げる筋肉ですから、そのような動きに負荷をかけることがトレーニングになります。
・トレーニング1:もも上げ
大腰筋が働く、太ももを持ち上げる動作をトレーニングに用います。
両手前に伸ばし、壁などに手をついて身体を固定します。
その状態で片方の太ももを、太ももが水平ぐらいまで持ち上げ、その後下ろします。
これを、15回程度やり、その後、反対の脚で実施する。
これを1セットとして、3セットやってみましょう。
セット間には1分程度の休息を入れます。
負荷が軽い人は、チューブや重りを使用して、少し負荷をかけてみましょう。
・トレーニング2:自転車こぎ
自転車こぎは、ペダルを回す運動です。
一般の人は、自転車こぎはペダルを押すことを意識します。
しかし、これでは大腰筋は鍛えられません。
一工夫が必要です。
ペダル回転の後半部分、ペダルが下にあるところから上にくる所が大切です。
ここで、ペダルを持ち上げる意識で脚を動かすのです。
この動作を早めに行うと、腿上げのような運動になります。
ペダルの回転数を、1分間に70〜80回転ぐらいでやってみて下さい。
一般の人は、普段、1分間に40〜50回転ぐらいで自転車をこいでいます。
ですから、ペダルを速く回すことも意識しましょう
ペダルの回転数を計測できる装置があるといいですね。
いずれの運動も最初は無理せずに、ゆっくり正しい動作を覚えましょう。
素早くやろうとすると、いい加減な動作になってしまいます。
それでは、大腰筋が効率的に使えていない動作になってしまうことも。
まとめ
- 大腰筋は、太ももにある大腿骨と背骨(脊椎)をつないでいる筋肉で、太ももを持ち上げる動作を生み出す。
- 短距離系アスリートでは大腰筋が発達し、この面積がパフォーマンスと関連する。
- 高齢者においては、大腰筋が弱くなると、すり足になり転倒しやすくなる。
- 転倒は骨折につながり、寝たきりのリスクを高める。
- 大腰筋を鍛えるには、ももを上げるトレーニングが効果的である。
運動は、継続が大切です。
最初から無理しすぎてしまうと、なかなか続かないものです。
最初は、軽めに、すこしずつ負荷をかけていきましょう。
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