ずっと座っていると何か悪いのですか?
心臓血管系の病気になるリスクが高くなります!
世界的にみて、日本人は平日の座っている時間が長いことが報告されています。
座っている時間が長いことが何か問題?
そう思われる方も多いと思います。
しかし、座っている時間が長いことと健康には関連性があるのです。
座っている時間が長くなると、心臓血管系での死亡、がん、糖尿病の罹患リスクが高まります。
そうは言っても、業種や部署によってはデスクワークで座っている時間が長くなってしまいます。
そういう方も多いと思います。
解決策としては、以下の通りです。
では、なぜ座ってばかりいてはいけないのかを以下の内容で解説していきます。
- 日本人の5大死因
- 動脈機能の評価
- 座っている時間と動脈の機能
- 対策
日本人の5大死因
日本人の死亡率の高い死因は、高い順に以下の通りです。
- 悪性新生物(がん)
- 心疾患
- 老衰
- 脳血管疾患
- 肺炎
(出典:令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省))
心疾患は、心臓に生じる病気のことで、心臓に血液を送る冠動脈のトラブルで生じる心筋梗塞や狭心症も含まれます。
また、脳血管疾患は、脳の血管のトラブルで生じ、脳梗塞や脳出血があります。
いずれも血管に関係する病気なんですね。
ですから、血管を健康に保つことが、健康を維持する上で大切になるのです。
動脈機能の評価
動脈機能を評価するものとして以下のものがあります。
- 動脈スティフネス
- 血管内皮機能
・動脈スティフネス
動脈の壁の硬化度(硬さ)を示す指標です。
動脈スティフネスが低いことは、心臓・血管への負担が小さいことを表しています。
・血管内皮機能
動脈は3つの層からできています。
その最も内側、血液と接する部分に血管内皮細胞の層があります。
この血管内皮細胞が血管の収縮や拡張を調節する機能が、血管内皮機能です。
この機能の低下が今後の動脈硬化のリスクを高めることと関連しています。
座っている時間と動脈の機能
座っていると、脚への血流量が低下します。
これが、血管内皮機能を低下させます。
私たちの血液量は限られています。
ですから、必要なところに重点的に送られるようになっています。
座っていると、脚は活動していませんので、血液量が低下し、結果として血流量が低下するのです。
安静時には、肝臓や胃腸系、腎臓系などに多く血液が送られます。
一方、運動をすると、筋肉に血液が多量に送られるようになります。
しかし、全ての筋肉に平等に送られるわけではなく、主に活動している筋肉に血液を集中するように調節されています。
血流量が増加すると、血管の表面と血液との摩擦が生じます。
これをずり応力といいます。
ずり応力によって刺激された血管内皮細胞から一酸化窒素が合成されます。
一酸化窒素は、血管を広げる役割をしているのです。
この反応が血管内皮機能を維持する上で大切になります。
座っている時間が長いと、血管内皮機能が悪化します。
このような状況が繰り返され慢性的になると血管機能にトラブルが生じ、心血管疾患の発症につながっていくと考えられています。
対策
対策としては、以下のものがあります。
- 30分ごとに立ち上がり軽運動などを実践する。
- 座っている時に、脚を動かす。
- 座って仕事する前後で有酸素運動をする。
座っている時間を短くする工夫をしてみましょう。
定期的に、トイレに行く、コーヒーを入れに立ち上がる、など30分ごとなど時間を決めて、椅子から離れる習慣をつけてみて下さい。
会議中など、立ち上がることが難しい場合は、座った状態で脚を動かすことでも効果があるようです。
椅子に座った状態で、踵を持ち上げる、脚全体を持ち上げるなどの運動なら可能ですね。
また、座る前・後に、有酸素運動をすると、血管内皮機能には良い影響があるようです。
歩いて、あるいは自転車で通勤するというのも良い方法になりそうです。
まとめ
- 世界的にみても、日本人の座っている時間は長い。
- 座っている時間が長いと脚への血流量が低下して、動脈の機能に悪影響を及ぼす。
- 動脈の機能の低下が慢性化することで心血管疾患のリスクを高める。
- 座っている時間を短くする、軽運動をするなどの工夫で、動脈の機能低下を防ぐことができる。
座っている時間だけでなく、ストレスも動脈の機能に悪い影響を与えます。
また、食後に血糖が上昇する「食後高血糖」も動脈機能を悪化させることが報告されています。
どか食い、早食い、などが食後高血糖を引き起こすようです。
私たちの思わぬ生活習慣が健康に影響しています。
日頃から注意したいですね!
■参考
- 第77回日本体力医学会大会、シンポジウム16、2022
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