100mの速い人と、マラソンの速い人って同じ筋肉なの?
良い質問だね。どう思う?
同じなら、100mもマラソンも両方優勝する人がいてもおかしくない気がする。だから、違う種類の筋肉なんじゃあないかな・・・
するどい!
では、筋肉の種類について解説します。
筋肉のいろいろ
私たちの身体には、心筋、平滑筋、骨格筋があります。
手足を動かしているのが、骨格筋になります。
骨格筋は、関節をまたいで骨にくっついており、この筋肉が短くなることで、運動が生じます。
骨格筋の動きをコントロールしているのが、脊髄にある運動神経です。
巷でよく、「運動神経がいい」といいますが、この神経の働きがいいという訳ではありません。
筋線維タイプ
骨格筋は、髪の毛ほどの細い筋線維が束になってできています。
なお、筋線維の「線維」は「繊維」でなはないので注意してください。
この筋線維は、いくつかのタイプに分類されることが知られています。
遅筋線維、速筋線維とその中間タイプの線維です。
遅筋線維
疲れにくく長時間動くことが得意な筋線維です。
その反面、スピードが遅く、力も小さい特徴があります。
見た目が赤っぽいので、赤筋線維とも呼ばれます。
なぜ赤い色をしているかというと、ミオグロビンというタンパク質を多く含んでいるからです。
このミオグロビンは、筋肉内の酸素の運搬や保存に関わる大切な役割を持っています。
マグロなど赤身魚にあります。
人間だと、陸上の長距離選手が多く持っている筋線維となります。
速筋線維
素早く動き、大きな力を出すのが得意な筋線維です。
その反面、すぐに疲れてしまう特徴があります。
見た目が白っぽいので、白筋線維とも呼ばれます。
ミオグロビンの量が少ないことから、白っぽく見えます。
ヒラメなど白身魚にあります。
人間だと、陸上の短距離選手が多く持っている筋線維となります。
筋線維タイプと遺伝
私たちの骨格筋では、速筋線維と遅筋線維の割合はどのくらいなのでしょうか?
比較しやすいので、陸上の走種目で考えます。
一流の短距離選手は、速筋線維80%で遅筋線維20%、一方、一流の長距離選手では、速筋線維20%で遅筋線維80%程度とイメージして頂けれ良いと思います。
競技種目に関連の深い筋線維タイプを持っていることになります。
ちなみに、一般人は、速筋線維50%で遅筋線維50%。
一流陸上選手も一般人も個人差はあります。
この筋線維タイプの割合はトレーニングによって培ったものでそうか?
実はそうではないのです。
この割合は、遺伝的に決定されていることが知られています。
一卵性双生児と二卵性双生児で筋線維タイプを比較した研究が有名です。
一卵性双生児の筋線維タイプの一致度が高く、このことから遺伝の要因が高いとされています。
つまり、100mでオリンピックに出るには、持っている遺伝子が重要になってくるということです。
もちろん、厳しい練習をした上の話ですが。
どうやって調べる
筋線維タイプはどうやったら調べられるのでしょうか?
よく知られているのは、筋バイオプシー法です。
骨格筋の筋線維を取り出し、それを薬剤で染色したり、力学的な特徴を調べてタイプを分類します。
ただ、筋線維を取り出すために、身体に専用の機器を挿入するなど侵襲性が高く、手軽な計測とは言えません。
最近では、遺伝子タイプで速筋線維タイプか遅筋線維タイプかを分類する方法も開発されているようです。
口腔粘膜を採取して送付するだけで検査できるキットもネットで販売されています。
どの程度の精度があるのかはわかりません。
まとめ
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