運動強度を感覚から捉える

健康・運動

心拍計とかないんだけど、簡単に運動強度を知る方法ってないかな?

主観的運動強度を使ってみるのはどうでしょうか。

最近では、腕時計型の心拍計など、生体情報が簡単に得られるようになっています。

もちろん、これらを購入して活用できればベストです。

でも、「そこまでお金はかけられない」、そういう人もいると思います。

そんな人には、主観的運動強度を使うことをオススメします。

主観的運動強度は無料で使用できます。

ただ、使い方や注意点を頭に入れて使用することが大切です。

今回は、主観的運動強度について以下の点から解説します。

  1. 主観的運動強度(RPE)とは
  2. RPEの妥当性
  3. RPEと心拍数の関係
  4. 健康づくり運動でのRPE

1.主観的運動強度(RPE)とは

主観的運動強度は、RPE(rating of perceived exertion)と表されます。

RPEは、下表のように6〜20の数値に言葉があてられています。

20
19非常にきついVery, very hard
18
17かなりきついVery hard
16
15きついHard
14
13ややきついSomewhat hard
12
11楽であるFairly light
10
9かなり楽であるVery light
8
7非常に楽であるVery, very light
6
主観的運動強度

運動している時に、その運動のきつさが、表に示されている言葉に相当する数値を選択するというものです。

例えば、ある運動をしていて「きつい」と感じたら、RPEは「15」となります。

また、「きつい」ほどではないが、「ややきつい」よりはきつい、という感覚であればRPEは「14」になります。

言葉がないところは、前後の言葉の間の間隔ということで、選択することができます。

主観的運動強度は、運動の強さを心理的な側面から数値化したものなのです。

2.RPEの妥当性

感覚に頼るなんて、いい加減に感じるし、怪しくない!?

そう思われるかもしれませんが、そうでもないのです。

いろんな強度の運動を実施させ、RPE、心拍数、酸素摂取量を計測します。

そうすると、RREと心拍数、RPEと酸素摂取量には直線的な関係が認められます。

心拍数は、心臓が1分間に何回収縮したかの数です。

心臓は収縮(ギュッと縮むこと)することで血液を押し出し、血液に含まれる栄養や酸素を全身に運搬する役割をしています。

運動がきつくなると、筋肉でたくさんの酸素が必要となりますから、心拍数も増加します。

酸素摂取量は、身体が酸素を取り込んだ量です。

この酸素は筋肉が動くために使われます。

こちらも、運動がきつくなると、酸素摂取量も増加します。

つまり、運動強度が上がれば、それに比例して酸素摂取量と心拍数が増加します。

その酸素摂取量や心拍数とRPEが直線的な関係があるということは、RPEも運動強度を表す指標としては妥当だということになります。

3.RPEと心拍数の関係

運動時のRPEを10倍した数値がその時の心拍数になると言われています。

ですので、RPEが6〜20というのは、20歳を想定した指標だとも言えます。

すなわち、RPEの数値を10倍すると、60〜200となります。

60は、一般人の安静時の心拍数に相当します。

200は、20歳の人の最高心拍数に相当します。

心拍数は、先程も説明しましたが、心臓の1分間の拍動数です。

これによって、心臓から血液が全身に送り出されます。

この心拍数には上限があって、それを最高心拍数と言います。

最高心拍数を知る方法は、実際には限界まで運動した時の値を計測するしかありませんが、推定式もあります。

それが、以下の式です。

 最高心拍数=220ー年齢

ですので、20歳だと最高心拍数は200拍/分ということになるのです。

ちなみに、最高心拍数は年齢だけに関連してきます。

アスリートがどんなにトレーニングを積んでも最高心拍数を増やすことはできないのです。

ただ、以下の人は、RPEを使用する際には注意が必要です。

  • 循環器系に影響のある薬を服用している人
  • 中高齢者

・循環器系に影響のある薬を服用している人

循環器系に影響のある薬とは、例えばβ遮断薬などです。

血圧の高い方が服用されていることが多い薬です。

自律神経に作用する薬で、心拍数の増加を押さえます。

ですので、RPEと心拍数との関係性に影響がでてきます。

心拍数が低く抑えられますので、RPEの方が実際の運動強度を評価する上では参考になります。

・中高齢者

年齢とともに最高心拍数が低下します。

例えば、60歳の人の最高心拍数は160拍/分と推定されます。

RPEは10倍すると心拍数になる訳ですが、RPEが「20」は60歳の人には現実的な数値ではないのです。

ですので、若者と同じRPEでも高齢者では心拍数が低くなります。

4.健康づくり運動でのRPE

RPEを手がかりに健康づくり運動を考えてみましょう。

健康づくり運動は、最大酸素摂取量の50%程度の運動で十分です。

この運動強度を実施するための心拍数は、カルボーネン法で計算することができます。

50歳で安静時の心拍数が70拍/分だとすると、最大酸素摂取量の50%程度の運動の心拍数は120拍/分です。

これは、RPEで「12」に相当することになります。

「楽である」〜「ややきつい」の間ぐらいの感覚で運動できていればよいことになります。

中高齢者は、年齢や安静時心拍数にもよりますが、健康づくり運動は、RPEが10〜12ぐらいの運動になります。

まとめ

  • 運動強度を表す方法として、心拍数や酸素摂取量の他に主観的運動強度(RPE)がある。
  • RPEは、実施している運動のきつさをどう感じているかで、6〜20の数値で表す。
  • RPEは10倍すると心拍数に相当するが、循環器系に影響のある薬を服用している人や中高齢者は、その関係が成り立たない。
  • 中高齢者の健康づくりのための運動では、年齢や安静時心拍数にもよりますが、RPEが10〜12ぐらいの運動となる。

心拍計などの機器がなくても、RPEを活用できれば運動強度を知ることができます。

RPEを正確に使うには、自分の感覚に正直に、頑張りすぎないことが大切です。

内なる声に耳を傾けましょう!

参考

  • 健康運動実践指導者 養成用テキスト

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