最近、「自律神経」って雑誌とかテレビでよく聞くんだけど、どんな神経なの?
内臓をコントロールするなど、大切な働きをしているんだよ。
それで、「自律神経を整える」、なんて言うんだね。
自律神経の変動が不調を引き起こすこともあるんだよ。
今回は、自律神経について解説します。
自律神経
私たちは、手足を思い通りにコントロールできます。
でも、心臓も筋肉でできていますが、意識的にコントロールできません。
なぜでしょうか?
それは、手足の筋肉(骨格筋)と異なり、心臓の筋肉(心筋)はコントロールしている神経は違うからです。
心筋や、内臓や血管にある平滑筋という筋肉の動きをコントロールしているが自律神経です。
自律神経は、「自律」とあるように、我々の意識ではコントロールできません。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
この2つの神経は基本的にはお互いが反対の作用をすることが多いです。
交感神経
交感神経は、身に危険が近づき、闘争か逃走か(Fight or Fly)、という時に活躍する神経です。
このような状況では、交感神経が身体の様々な器官に働きかけをします。
瞳孔が開く。 ➡敵がしっかりみえる。
気管が拡張する。 ➡大量の空気が流れやすくなる。
呼吸数・心臓の拍動数(心拍数)が増える。 ➡酸素や栄養を骨格筋にたくさん送る。
貯蔵されているエネルギー源(グリコーゲンや脂肪)が分解する。 ➡骨格筋にエネルギーを補給する。
手のひらに汗をかく。 ➡ものを掴むグリップ力を高める。
骨格筋にいく血管が拡張し、脳・心臓以外の組織への血管を収縮させる。 ➡血液を骨格筋に集中させる。
などなど。
これらが同時に起こります。
副交感神経
リッラクスしている状態で活躍しているのが副交感神経です。
交感神経活動によって高まった各器官の活動などを元の安静状態に戻していきます。
これに加えて、食後は、消化吸収のために副交感神経活動が高まります。
このため、食後には強い眠気が生じるのです。
バランスが大切
交感神経と副交感神経の活動のバランスが大切です。
どちらかに偏りすぎていてもよくないようです。
交感神経活動が高まる時もあれば、リラックスして副交感神経活動が高まる時も必要です。
最近では、慢性的なストレスが大きな社会問題になっています。
ストレスも自律神経活動に影響を及ぼし、交感神経活動を高めることが知られています。
ストレスに対処するために、身体が闘うモードになっているんですね。
問題なのが、「慢性的」ということです。
休まることなく、常に交感神経活動が高まっている状況です。
こうした状況が長引くと、身体の不調や肥満症や心臓血管系の病気の原因にも。
リラックスして、副交感神経活動を高めてあげることで、疾病が改善するという研究もあります。
自律神経活動を調べる方法
正確には、交感神経と副交感神経の活動を直接記録することが必要になります。
体内にセンサーを挿入することから侵襲性も高く、計測も大変難しいです。
間接的な方法で自律神経活動を推定する方法も考え出されています。
その一つが心臓の活動を利用するものです。
心電図のR波を計測して、その変動(心拍変動、HRV)を調べるものです。
心臓の活動は一律ではなく、ゆらいでいます。
つまり、ドクッ、ドクッという心臓のリズムの間隔は一定ではないのです。
間隔が伸びたり、縮んだりしていて、それには自律神経活動も関与しているのです。
これを利用して、安静時や身体活動中の自律神経活動を調べる研究が盛んに行われてきています。
この辺りはまた別の機会に詳しく解説します。
最近では、腕時計で心拍変動を計測できるものも増えてきています。
自分の自律神経活動の状況を推定することが簡単にできるようになってきました。
自律神経活動をセルフチェックして、健康的な毎日を送りたいですね!
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