ネットで筋トレにいいって書いてあったのですが、クレアチンってどうなんですか?
一定の効果が認められているようです。ただ、たくさん飲めばいいというものではありません。
サプリメントで競技力を向上させたい、効率的なトレーニングをしたい・・・
そう思っている方も多いと思います。
いろんなサプリメントが発売されていますが、科学的に効果が確認されているものは意外と少ないです。
そんな少ないものの中で、アミノ酸の一種であるクレアチンの摂取は、運動パフォーマンスへの効果が確認されています。
今回は、クレアチンの摂取について、以下の内容で解説します。
- エネルギー供給系
- 体内のクレアチン
- クレアチンの貯蔵
- 運動パフォーマンスとクレアチン摂取
- 高齢者とクレアチン摂取
- クレチン摂取の問題点
エネルギー供給系
筋肉はATPという物質を分解してエネルギーを得て動いています。
しかし、ATPは体内にわずかしかないので、再合成しないといけません。
再合成の方法には3つの系があります。
- ATP-PCr系
- 乳酸(解糖)系
- 有酸素系
クレアチンに関係してくるのが、1つ目のATP-PCr系です。
PCrはクレアチンリン酸といい、クレアチンとリン酸からできています。
ATP-PCr系は、大きなパワーを発揮する時のエネルギーを生み出しています。
ただ、体内のPCr量が少ないため、7秒程度で使い切ってしまいます。
陸上の100m走や投擲種目などは、主にATP-PCr系によってエネルギーを得ています。
体内のPCr量を増やすことで、運動パフォーマンスを向上させる効果が期待されます。
体内のクレアチン
クレアチンは、体内での合成と食事による摂取で維持されています。
体内にあるクレアチンの約95%が骨格筋に貯蔵されています。
食事では、生肉、生魚、ミルクなどに含まれています。
生肉、生魚では、500gあたり約3g程度含まれますが、熱処理などで破壊されてしまいます。
実質60〜80%、2g程度の摂取量となるようです。
クレアチンの貯蔵
クレアチンを摂取すると、体内のクレアチン貯蔵量が増加します。
しかし、食事で摂取するには、限界があります。
そのため、精製したクレアチンが市販されています。
クレアチンの摂取で10〜20%程度、体内のクレアチン量が増加します。
個人差もあり、もともと体内のクレアチン量が少ない人の方が増加率が高いようです。
ただ、飲めば飲んだだけ貯蔵できる訳ではなく、上限もあるようです。
過剰に摂取しても、体外に排出されてしまいます。
クレアチン摂取の目安としては、以下の通り。
現在、クレアチン摂取をしていない人が始める場合は蓄積期、摂取して5〜6日間程度経過した人は維持期の量を参考にしてください。
運動パフォーマンスとクレアチン摂取
クレアチン摂取は、サプリメントで科学的に効果が確認されているものの一つです ※)。
短時間の高強度運動への効果が確認されています。
特に、高強度運動を休息を挟んで繰り返されるような状況で効果があります。
一方、持久的運動への効果は少ないようです。
また、筋トレ時にクレアチンを摂取すると、トレーニングの効果が高くなります。
※)https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/study/sports_nutrition/tabid/1493/Default.aspx
高齢者とクレアチン摂取
高齢者では、筋力低下が問題になっています。
クレアチンを摂取しながら筋トレをして、筋力アップにつなげたいところです。
高齢者において、クレアチンを摂取することで体内のクレアチン量は増加し、瞬発的な運動のパフォーマンスも増加することが確認されています。
ただ、高齢者のクレアチン摂取の効果は、若者ほどには確認されていません。
筋トレと並行してクレアチンを摂取することの効果は、まだ十分には確認されていないようです。
クレアチン摂取の問題点
現状では、クレアチン摂取による健康被害はほとんど報告されていないようです。
ただ、クレアチン摂取で下痢の症状を訴える人もいるようです。
一つ、問題になりそうなのが、体重の増加です。
クレアチン摂取で体内の水分量の増加やトレーニングによる筋肉量の増加が理由のようです。
身体が重く感じて不快感を感じるようですと競技には悪い影響になります。
普段から試しておく必要があります。
クレアチンを摂取して、気分など悪くなるようなことがあれば、無理に飲むのはおすすめできません。
また、過剰に摂取しても体外に排泄されるだけなので、注意しましょう。
まとめ
- クレアチンの摂取は、体内のクレアチン貯蔵量を増加させる。
- クレアチン貯蔵量の増加は、高強度の繰り返し運動でパフォーマンスを向上させる。
- 筋トレと並行したクレアチン摂取によって、筋力をより向上させる。
- 健康被害は報告されていないが、下痢の症状を訴えるものもおり、過剰な摂取は避ける。
- クレアチン摂取で体重が増加する。
サプリメント一般に言えることですが、サプリメントはその意味通り、あくまでも「補助」食品です。
基本は食事で摂取、そして不足分をサプリメントで摂取することを心がけてください。
<参考文献>
・クレアチン摂取とスポーツパフォーマンス、高橋、2006
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