唾液からストレスの状態を知る 〜唾液アミラーゼ〜

健康・運動

最近、ストレスが溜まっているようなんです。どんな状況が簡単にわかると良いですよね・・・

唾液から簡単に計測できる機器もあるようですよ!

ストレスから逃れられない世の中ですね。

そして、ストレスは知らず識らず蓄積されていき、気づいた頃には大変な状況になってしまっていることも。

精神的な鬱はもちろんのこと、生活習慣病など様々な疾病の原因ともなります。

ですので、ストレスの状況を知ることができれば、ストレスを管理できるようになるかもしれませんね。

今回は、以下の内容で、ストレスと唾液アミラーゼについて解説します。

  • ストレス時の身体の反応
  • ストレスマーカー
  • 唾液アミラーゼ

ストレス時の身体の反応

私たちがストレスを受けると、次の2つの経路が作動します。

  • HPA軸
  • SAM軸

■ HPA軸

これは、ストレスを受けると、視床下部、下垂体、副腎皮質が連携する経路です。

最終的には、副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。

コルチゾールは、血糖値や心臓血管系の働きを高める作用があります。

SAM軸

これは、視床下部、交感神経、副腎髄質が連携して作用する経路です。

副腎髄質からは、アドレナリンやノルアドレナリン、交感神経からはノルアドレナリンが分泌されます。

これらの物質は、心臓血管系の機能を高める作用があります。

HPA軸、SAM軸で、ストレスに対抗するため、身体が準備の体制を整えているのです。

通常、ストレスがなくなると、これらの経路も活動を弱め、ストレス前の状態にもどっていきます。

ところが、最近では慢性的にストレスを受け、これらの経路が常に高い状態で活動する状況も生まれています。

このような状況が、身体に様々な不調がもたらす原因となるのです。

ストレスマーカー

受けているストレスの強弱で変動する化学的な物質をストレスマーカーと言います。

ストレスが弱いときにはその物質が低く、強いときには高くなるものです。

ストレスマーカーとしては次の2つがあります。

  • ノルアドレナリン
  • コルチゾール

ノルアドレナリンは、血液中に含まれていますが、量が少なく現状では分析が不可能なようです。

一方、コルチゾールは、血液中に比較的多く含まれるので、分析が可能な物質です。

このように、ストレス時のHPA軸とSAM軸の経路で直接関連するこれらの物質は、血液に含まれています。

そうなると、検査するには採血の必要があり、家庭で簡単にチェックできません。

一方、唾液から分析できるストレスマーカーもあります。

それが、コルチゾールとアミラーゼです。

唾液アミラーゼ

今回は、唾液アミラーゼについて紹介します。

唾液アミラーゼは、本来、ご飯に含まれるデンプンを糖に分解する酵素です。

交感神経の作用で、唾液アミラーゼの分泌を高めることが発見されました。

交感神経の作用を遮断すると唾液アミラーゼの変化も抑えられました。

このことからも、唾液アミラーゼと交感神経が密接に関連していることがわかります。

・計測する方法

NIPRO社から唾液アミラーゼ測定の機器が販売されています。

本体が1台3万円程度で、唾液を摂取するための専用のチップが1袋4千円程度で20回測定ができます。

決して安くはないですが、手が届かないものではありません。

専用のチップを口内に入れ、30秒ほど待ちます。

この際、綿棒に十分唾液が吸収されていることが大切です。

唾液のついたチップを測定器に入れ、測定器のモニターに表示されてる指示にしたがって操作するだけです。

唾液を採ってから、値が表示されるまで、ほんの数分で終了です。

・データのばらつき

どうしても数値にばらつきはあります。

測定時には以下の点を注意しましょう。

  • 唾液をしっかりとチップに付着させる。
  • 周囲の温度が20〜30℃の所で計測する。

口内が乾燥して、唾液の量が少ないと正確には計測できません。

周囲の温度が整えられない場合は、温度補正も必要です。

また、唾液アミラーゼは、交感神経が唾液腺に作用して分泌されるものなので、直接的ではありません。

そのあたりも、ばらつきの原因かもしれません。

ですので、1回の測定値で一喜一憂しないことが大切になります。

・計測するタイミング

日常的なストレスや疲労状況を把握するためには、起床時に毎日測定するのが良いでしょう。

起床後、トイレに行った後に、うがいをして、しばらく安静にします。

その後、計測をしてみましょう。

1日の変化というよりは、何日かの傾向を把握して、判断することが大切です。

まとめ

  1. ストレス時には、HPA軸とSAM軸が作用し、交感神経活動が高まり、コルチゾールやノルアドレナリンが分泌される。
  2. ストレスマーカーは、血液中に含まれるものが多いが、唾液中に含まれるものもある。
  3. 交感神経活動によって唾液から分泌されるアミラーゼは、ストレスマーカーとして利用できる。
  4. 唾液アミラーゼを計測できる機器が市販され、唾液採取から数分でその値を計測することができる。
  5. 測定環境、測定のタイミングを一定にして、継続的に計測し、数値の変化でストレス状況を判断する必要がある。

継続的に計測していて、唾液アミラーゼの値が上昇してきているようであれば、ストレスや疲労が溜まってきている証拠です。

少しゆっくりする時間を取りましょう!

ストレスを軽んじてはいけませんよ。

<参考>

・山口ら、生体工学、45(2)、2007

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