内臓脂肪を太らせるな!

健康・運動

私たちは、主に糖質と脂肪をエネルギー源として使用しています。

タンパク質はエネルギーとしても用いられますが、筋肉など身体をつくるのが主な役割になります。

糖質と脂肪は、体内で作り出すことができないため、私たちは食事を摂取することでそれらを補給しています。

そして、過剰に摂取した糖質と脂肪は体内に貯蔵されます。

糖質は、肝臓と筋肉に貯蔵されますが、貯蔵量には限界があります。

脂肪は、脂肪細胞に貯蔵されます。

糖質も、肝臓や筋肉での貯蔵量がいっぱいになった時には、脂肪として貯蔵されます。

脂肪細胞の分泌作用

これまで、脂肪細胞は、脂肪を貯蔵する入れ物のように捉えられてきました。

しかし、脂肪細胞はエネルギー貯蔵だけではなく、生理活性物質を産生・分泌する、とても活発な器官だということがわかってきました。

生理活性物質とは、わずかな量で私たちの体に作用し、いろんな体の機能を調節する物質のことです。

ビタミンやホルモン、酵素、神経伝達物質などがあります。

脂肪細胞からは、アディポサイトカインという生理活性物質が分泌されます。

脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカイン

アディポサイトカインには、アディポネクチン、レプチン、TNF-α、PAI-1、IL-6などがあります。

それぞれが、体に様々な作用を及ぼしているのです。

最近、肥満において、「慢性炎症」が注目されています。

炎症という観点からアディポサイトカインを分類すると、

炎症からみたアディポサイトカイン
  • 炎症を促進する因子:TNFα、IL-6など
  • 炎症を抑制する因子:アディポネクチンなど

脂肪細胞が慢性的に炎症状態になることが、私たちの身体にとってよくない状態なのです。

脂肪は蓄積している場所が重要

脂肪は、その蓄積している場所で、皮下脂肪と内臓脂肪に分類されます。

お腹がぽっこりでるのが、一般的に内臓脂肪と言われます。

しかし、実際には、内臓脂肪はMRIなどで調べないと正確にはわかりません。

肥満による疾病に関連してくるのが、内臓脂肪になります。

同じ脂肪なのですが、皮下なのか内臓なのかで影響が異なるのです。

内臓脂肪が蓄積した肥満を内臓脂肪型肥満といいます。

内臓脂肪の肥大化が危険

過剰に脂肪を摂取すると、内臓周りの脂肪細胞は脂肪をたくさん蓄積し肥大化します。

脂肪細胞は肥大化すると、アディポサイトカインの分泌に異常が生じます。

その結果、炎症促進因子の分泌が増え、炎症抑制因子の分泌が減ってしまうのです。

つまり、脂肪細胞が炎症状態になるのです。

炎症が慢性化すると慢性炎症となり、生活習慣病などの疾病を引き起こす原因になるのです。

また、過剰な脂肪の摂取は、視床下部という場所にも炎症を引き起こすことが知られています。

この炎症によって、視床下部の弓状核という場所にある神経細胞が破壊され、このために摂食抑制機能が障害されてしまいます。

摂食抑制機機能が働かなくなると、十分なカロリーを採っているのに、摂食を止められない状態になってしまいます。

過食です。

これが、さらに脂肪細胞を肥大化させ、・・・。

こうなると負のスパイラルです。

内臓脂肪を減らす方法

内臓脂肪を減らす方法は、食事と運動です。

・食事

脂肪も栄養素としては必須のものです。

極端に減らすことはありあせんが、過剰な摂取は控えましょう。

結局のところ、「バランスの良い食事」ということに尽きると思います。

・運動

運動によって消費エネルギーを増やし、脂肪を使おうという作戦です。

では、どんな運動をすればよいのでしょうか?

やはり、有酸素運動が効果的です。

内臓脂肪を減らすためには、少なくとも1週間で10メッツ・時以上の運動が必要です(※)。

※)https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-002.html

これは、例えば以下の内容で達成できます。

内臓脂肪を減らす運動(例)
  • 運動の種類:歩行
  • 運動の強度:やや速歩(93m/分)
  • 運動の時間:30分
  • 運動の頻度:5日

毎分93mの歩行であれば、少し速歩きですが現実的です。

各個人の体力レベルにもよりますが、多くの人にとっては身体への負担も少なく安全性が高い運動だと考えられます。

時間は30分ですが、分割しても大丈夫です。

サラリーマンの人であれば、毎朝の通勤と帰宅時に15分ずつ実施してくれれば、5日間も無理なく実施できます。

運動に、食事の改善も実施すれば、効果はさらに期待できます。

まとめ

  1. 余分な脂肪は脂肪細胞で貯蔵される。
  2. 脂肪細胞は、脂肪を蓄積するだけでなく、アディポサイトカインを分泌する。
  3. 内臓脂肪は、過剰に脂肪が蓄積すると炎症が生じ、生活習慣病の原因ともなる。
  4. 過剰な脂肪摂取は、視床下部にも炎症を引き起こし、摂食抑制機能が働かなく、過食を引き起こす。
  5. 食事の改善と運動の実践で内臓脂肪型の肥満は解消できる。

内臓脂肪型肥満は、男性で多いそうです。

確かに、お腹がぽっこりでている中年男性ってよく見かけますよね。

太った内臓脂肪を放置しておくと、様々な疾病が引き起こされ、大変なことになってしまいます。

さあ、食事の改善と運動の実践で健康的な身体を取り戻しましょう!

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