トレーニングはじめようと思うのですが、何をやればいいですか?
トレーニングの目的は何ですか?
ん・・・考えていませんでした。目的って必要なんですか?
そうなんですよ。目的でどんな運動をすれば良いかが変わってきます!
「運動を始めよう!」と思い立つことはとても大切なことです。
ただ、目的が何かによって実施する運動が異なってきます。
運動は、実施する内容によってその効果が異なるからです。
これは、「特異性の原理」と言われ、トレーニングの原理の一つになります。
トレーニングの原理は以下の3つの原理からなります。
トレーニングの原理は、「原理」というぐらい本質的なもの。
どうして重たいものを持ち上げたり、息苦しい運動などをするのか?
どうしてトレーニングは継続しなければならないのか?
そういった、トレーニングの根本を理解することができます。
トレーニングを実施する人は誰もがこの原理について知って欲しいものです。
今回は、トレーニングの原理について解説していきます。
過負荷(オーバーロード)の原理
トレーニングで効果を得るためには、すでに持っている能力を刺激する負荷をかける必要があります。
つまり,日常生活で身体にかかっている以上の負荷をかけることによって、トレーニング効果が期待できるという訳です。
これを過負荷(オーバーロード)という訳です。
例えば、普段歩いているスピードでトレーニングしても、持久力はそれ以上に高まることはありません。
普段よりも、速いスピードで運動しなければ心肺機能への負荷とはならないのです。
一方、箸を持って、一生懸命に腕を曲げ伸ばししても、腕の筋力はつきません。
当然ですよね。
普段、使っている力よりも強い力を出すような重い物を持って運動しなければ、筋肉への刺激とはならず、筋力はつきません。
だからといって、運動するスピードが速い程、あるいは、重たい物ほど良いというものでもありません。
目的に合った、そして適切な負荷(スピード、おもりなど)の設定が必要になります。
特異性の原理
トレーニングをすると身体が変化していきます。
持久力がついたり、筋肉がついたり・・・
それは、トレーニングの負荷に身体が適応した結果なのです。
身体の適応には、トレーニングの種類による特異性があります。
「特異性」って難しい表現ですね。
レジスタンストレーニング(筋トレ)をすると筋力を高めることができますが、持久力を高めることはできません。
逆に、ランニングをすると持久力を高めることはできますが、筋力を高めることはできません。
これが、「特異性」で、他と違う、そのトレーニングにだけ限定的に現れる効果、ということです。
下図は、マシンでの筋トレとトレッドミルでの歩・走行中の心拍数のデータです。
筋トレは、レッグカールとレッグエクステンションを10RMの負荷で10回・2セット行った際のデータです。
太腿部の筋肉には結構な負荷がかかっていますが、心拍数は130拍/分程度しか上がっていません。
これは、時速6kmや8kmの速歩きや軽いジョギング時よりも10〜20拍/分も心拍数が低いです。
つまり、筋トレでは、筋肉には十分な負荷になっていますが、心肺機能に十分な負荷がかかっていないことを示しています。
特異性の原理があるため、自分が何を目的としてトレーニングをするかで、実施する運動が異なるのです。
可逆性の原理
ある一定期間トレーニングを継続して行っていると、トレーニングの効果が得られます。
しかし、その後、トレーニングをやめてしまうと、もとに戻ってしまうというのが「可逆性の原理」です。
トレーニングの効果がなくなってしまうスピードは、トレーニングの期間が短いほど速い傾向にあるようです。
過負荷がなくなって、元の生活のなかで受けている軽い負荷の方に適応するということですね。
しかし、再度、トレーニングを始めると、1回目よりも早く適応することも知られています。
その他
原理ではないのですが、「意識性の原則」というものがあります。
トレーニングは、その目的をしっかり理解して行う方が効果が高いというものです。
意味もわからず、とにかく言われたことをやっている状況は良くないのです。
今やっている動作は、どこの筋肉を鍛えているかを知ることで、やっている動作や使っている筋肉に意識を集中させることができます。
そのことによって正しい動作が可能となり、効果も高くなるのだと思います。
私は、この意識性の原則というのがとても大切だと考えています。
トレーニングをしている本人が、自分の身体のこと、トレーニングの内容のことに興味を持つことが、効果を得るためには大切な要素となります。
そのためには、医学・スポーツ科学の知識を勉強することも大切になってきます。
まとめ
- トレーニングには、過負荷(オーバーロード)、特異性、可逆性の原理がある。
- 過負荷(オーバーロード)の原理:日常生活で身体にかかっている以上の負荷(過負荷)をかけることでトレーニング効果が得られる。
- 特異性の原理:実施したトレーニングに即した効果が得られる。
- 可逆性の原理:トレーニングをやめてしまうと、またもとの状態に戻る。
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