心拍計を用いた自律神経解析のやり方

健康・運動

身体のコンディションは日々変わります。

コンディションの良い時もあれば、悪い時もあります。

季節でも大きく変わりますよね。

コンディションの良し悪しはなんとなくは分かりますが、客観的な指標があれば良いですよね。

コンディションが良ければ頑張れるし、悪ければ自重もできます。

最近では、自律神経の活動がコンディションを評価する指標として活用されています。

その自律神経の活動も心拍計から求められるのです。

今回は、心拍計で自律神経の解析の仕方について、以下の内容で解説します。

  • コンディショニング
  • 自律神経
  • R-R間隔の計測とデータの解析

コンディショニング

一般人は勿論のこと、競技者は身体のコンディションを整えることは重要です。

それは、コンディションの良し悪しが日々のトレーニングの質・量に関わってくるからです。

そして、競技当日ではパフォーマンスを決定すると言っても良いでしょう。

ですが、身体のコンディションを直接、そして客観的に評価する指標は現在のところないようです。

ただ、様々な手法でコンディショニングを評価しようとする試みがなされています。

その一つがR-R間隔を用いた自律神経の評価です。

現在では、心拍計を用いることで、手軽にR-R間隔が計測できるようになっています。

詳細は、以下のブログを参照して下さい。

自律神経

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。

トレーニングなど運動を行うと交感神経活動が高まります。

一方、運動が終了すると副交感神経活動が高まり、元の安静状態に戻していきます。

身体の回復が遅れ、疲れが溜まっている状態では、十分回復している時よりも副交感神経活動が低いままです。

この関係を利用して、コンディショニングを評価しようというわけです。

海外の研究では、水泳選手を対象としてR-R間隔を用いた研究があります。

合宿中、毎朝R-R間隔を用いた自律神経活動を評価し、毎日のトレーニング量と競技タイムの関係を検討しています。

この研究によると、練習量が多くなると、副交感神経が低下し、競技タイムも悪化しました。

一方、練習量を減らすと、副交感神経が回復し、競技タイムが改善したのです。

このように、R-R間隔による自律神経活動の評価法は、コンディショニングの評価の一つとして活用できそうなのです。

R-R間隔の計測とデータの解析

・心拍計の準備

心拍数自体は手首で検出できる脈を数えることで計測することが可能です。

しかし、心臓の動いている時間間隔であるR-R間隔を知ることができません。

R-R間隔とは、心電図を記録し、R波という波形の時間間隔を計測することで知ることができるのです。

このR波を計測できる心拍計が必要となります。

心拍計でも、胸部にセンサを装着するタイプで、腕時計型ではR-R間隔は計測できません。

詳細は、以下のブログを参照して下さい。

・起床時の安静時心拍数

R-R間隔の計測は起床時に行いましょう。

日中ですと、いろんな影響で自律神経が影響を受けてしまいます。

ですので、毎回、ほぼ同じ状況で測定できる起床時がベストです。

体重の計測と同じですね。

イスに座り、胸部のセンサを装着し、しばらく安静にしてから10分程度計測しましょう。

・ソフトによる解析

私は、Polar社の心拍計を用いているので、そちらの手順を説明します。

心拍計を専用ケーブルでパソコンと接続して、データをはきだします。

そして、CSVファイルでそのデータをパソコンにダウンロードします。

詳細は、以下のブログを参照して下さい。

・Kubios HRVを用いた例

最近の心拍計では自律神経の解析や評価までやってくれるものもあるようです。

私は、その解析を専用のソフトで行っています。

Kubios HRVというソフトです。

有料のソフトですが、簡易版であれば無料でダウンロード、使用できます。

個人で用いるのであれば、無料版で十分です。

残念ながら、日本語表示ではないのですが、なんとかなる範囲の英語ですのでトライしてみましょう。

Kubios HRVでは、心拍計で計測し、ダウンロードしたCSVファイルをそのまま読み込む事ができます。

読み込み後、解析結果が以下の図のように出てきます。

R-R間隔の解析も多岐にわたってあります。

どれを見れば良いのか分からないぐらいです。

今回は、周波数解析によるHF、LF及びLF/HFをみます。下の図の赤枠のデータになります。

HFはHigh Frequencyの略で、R-R間隔の高周波成分を表しています。

詳細を説明することは難しいですが、このHFが副交感神経の活動と関連していると理解して下さい。

一方、LFはLow Frequencyの略で、低周波成分を表し、交感神経と副交感神経活動の両活動と関連していると言われています。

そこで、LFをHFで割ったLF/HFが交感神経活動と関連しているとされています。

ただ、LF/HFの指標に関しては、疑義もあるようです。

これらの指標の変化を捉え、HFが低くLF/HFが高くなって来た時には疲れが溜まっている、という評価になります。

この数値も、毎日計測して、その傾向を捉えることが大切です。

体重と一緒で、日々、前後してしまいますので。

あと、体調が良い時のおおよその数値を抑えておき、それを基準に考えると評価がしやすでしょう。

まとめ

  • コンディショニングを自律神経活動から客観的に評価できる可能性がある。
  • 自律神経活動は、心電図R-R間隔から間接的に評価することができる。
  • R-R間隔は、心拍計からでも計測ができる。
  • 解析用ソフトで、R-Rを解析することで、副交感神経活動を反映するHF、交感神経活動を反映するLF/HFが求められる。
  • 起床時のHF、LF/HFの数値の傾向から自律神経活動を捉え、コンディショニングをおおよそ把握することができる。

自律神経はちょっとしたことで変動するものです。

測定環境が少し変わるだけも変化することもあります。

体調を捉えるためには、ある程度の傾向を掴むことが大切で、でてくる数値に一喜一憂しないようにして下さい。

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