エアロビックダンスって有酸素運動でしょ!?
それは間違いです!
多くの方が勘違いしていることなんです。
有酸素運動かどうかは実践している人の体力で変わります。
このことを理解しておけば、きつい運動を無理にがんばらなくてよくなります。
正しく有酸素運動を実践していきましょう。
そもそも「エアロビック」は「有酸素的な」という意味です。
ですので、エアロビックダンスは有酸素的なダンスだから、有酸素運動だと思われがちです。
エアロビックダンスに限らず、以下の運動は代表的な有酸素運動だと言われています。
- ランニング
- 自転車運動
- 水泳
確かに、そう言える状況もあります。
一方で、そうでない状況もあるのです。
これらの運動が有酸素運動になるかどうかは、やる人の体力で決まってきます。
どういうことか、以下の点から説明していきます。
- 体力
- 運動強度
- 有酸素運動
- 実践法
体力
体力はとても広い考え方です。
ここで取り上げているの体力は、どれだけの酸素を身体に取り込めるかという能力です。
これを最大酸素摂取量(VO2max)という数値で評価します。
この数値は、1分間にどれだけの酸素を取り込めたかを計測し、体重で割って表すのが一般的です。
体重で割るのは、この数値が身体の大きさに影響されるため、他の人と比較できるよう標準化するのです。
VO2maxは、有酸素性の能力を表す最も信頼されている指標です。
この値の各年代の基準値は以下の表の通りです。
18〜39歳 | 40〜59歳 | 60〜69歳 | |
男性 | 39(11) | 35(10) | 32(9) |
女性 | 33(9.5) | 30(8.5) | 26(7.5) |
単位: [mL・kg-1・分-1]、()内はメッツ値に換算した数値
各年代でこのぐらいの値を維持したいという目標値になります。
マラソン選手では、80〜90 [mL・kg-1・分-1]とかなり高い値を示します。
すごいですよね!
運動強度
運動強度は、自分の最大能力に対する相対値で表します。
例えば、20代の女性を考えると、上の表から
VO2max = 30 [mL・kg-1・分-1]
これは、8.5メッツに相当し、安静時の8.5倍の酸素が最大で取り込める能力があるという意味です。
例えば、エアロビックダンスは7.3メッツとなります(「健康づくりのための身体活動基準2013」の運動メッツ表)。
この運動の、VO2maxに対する相対値で表される運動強度は以下のように計算できます。
運動強度(%VO2max)=7.3 ÷ 8.5 ✕100=86 [%]
この運動強度だと、有酸素運動とは言えません。
それはなぜでしょうか。
有酸素運動
では、有酸素運動とは何でしょうか?
私たちは、生きていくため、身体を動かすためにATPというエネルギーを作っています。
このエネルギーをつくるのには3つの経路があります。
今回、関係あるのが、③の有酸素系です。
有酸素系は、酸素を使ってエネルギーをつくる経路です。
ある運動を行うために必要なエネルギーのほとんどが、この有酸素系で作られているものが有酸素運動なのです。
有酸素運動は、一般人の場合、50〜60%VO2max以下の運動になります。
それ以上の運動では、①や②の経路も使ってエネルギーを作らないと実施できないものになってしまいます。
ですから、先程の運動強度86 [%]となると、有酸素運動とは言えないのです。
ですので、エアロビックダンス、ランニング、自転車、などの種目によって有酸素運動かどうかはわからないのです。
その運動をやって、50〜60%VO2maxの範囲であれば有酸素運動になるし、それを超えるようであれば有酸素運動とは言えないのです。
そうなると、やっている人のVO2maxの値と、運動で使用される酸素の量(VO2)で決まってくることになります。
もし、VO2maxが49 [mL・kg-1・分-1](14メッツ)の人であれば、先程のエアロビックダンスの運動強度は以下のようになります。
運動強度(%VO2max)=7.3 ÷ 14 ✕100=52 [%]
これは、有酸素運動と言ってもいいですね。
実践法
では、どうすれば有酸素運動かどうかわかるのでしょうか?
VO2maxや運動中のVO2を計測することは現実的ではありません。
そんな時に使えるのがカルボーネン法なんです。
これによって、50〜60%VO2maxに相当する心拍数が計算できます。
カルボーネン法による計算式は、以下の通り。
例えば、50歳、安静時心拍数が毎分70拍の場合、
目標心拍数=(220-50-70)✕0.5+70=120 [拍/分]
ですから、ある運動をして心拍数がおおよそ120 [拍/分]であれば有酸素運動になっているという訳です。
運動中に心拍数をモニターして、目標心拍数と比較しながら運動することが大切です。
運動中の心拍数は、腕時計型のものを使用すると便利ですよ。
まとめ
- スポーツの種目で有酸素運動かどうかは決まらない。
- 最大酸素摂取量に対する相対的な強度が有酸素運動かどうかを決定する。
- 一般人の場合、最大酸素摂取量の50〜60%強度までが有酸素運動となる。
- 運動中の心拍数を計測しながら運動強度をモニターし、有酸素運動を実践することが大切である。
有酸素運動は、脂肪を効率的に燃やしてくれる運動です。
正しく有酸素運動をして、しっかりと効果を出していきましょう!
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