エネルギー消費量を測る

健康・運動

私たちの体重は、エネルギーの摂取と消費のバランスで決定されます。

エネルギーの消費量よりも摂取が多ければ体重は増加します。

逆に、エネルギーの摂取よりも消費が多ければ体重は減少します。

ですから、体重を管理するためには、摂取及び消費エネルギー量の両方を把握したいものです。

エネルギーの摂取については、最近では、食品に記入されています。

また、携帯のアプリでも食べたものを入力することで簡易的に摂取エネルギーを計算してくれるものもあります。

では、エネルギーの消費量はどうやって計測するのでしょうか?

簡単に求められそうなんですが、こちらの方は結構難しいのです。

エネルギー消費量を計測する方法には以下の方法があります。

  • 直接法
  • 間接法

直接法は、測定装置が大掛かりで費用もかかりますが高い精度があります。

一方、間接法は、簡易な装置で測定できるようになっていますが、デメリットもあります。

では、これらの特徴について、詳しくみていくことにしましょう。

直接法

直接熱量測定法と言います。

私たちが生み出したエネルギーは最終的に熱となります。

この熱を直接計測するのがこの方法です。

熱を計測するのは結構大変です。

まずは、特殊な部屋を用意しなければなりません。

部屋の中にいる人が発生した熱を、室内にはりめぐらされた管の中を流れる水の温度変化で測定します。

さらに、部屋の中で発生した水蒸気量から呼気などの水蒸気の気化熱を測定します。

このように、かなり大掛かりな部屋と装置が必要になります。

さらに、部屋の中でのエネルギー消費しか計測することはできません。

しかし、エネルギーを直接計測するものなので、最も信頼される測定方法と言えます。

間接法

私たちは、糖質、脂質、たんぱく質をエネルギー源として用います。

酸素を取り込み、これを用いて化学反応をさせ、私たちが用いているエネルギーであるATPを作り出します。

化学反応の結果、二酸化炭素が産生され、体外に排出します

用いられた酸素の量、産生された二酸化炭素の量、および尿中の窒素量を測定することでエネルギー消費量を推定するものです。

たんぱく質がエネルギーとして用いられる量は、糖質や脂質に比べ割合が少なく、一定です。

ですから、たんぱく質の利用を一定(12.5%)としたり、除外してエネルギー消費を求めることが多いです。

というのも、尿中の窒素量を測定するのが大変だからです。

また、酸素が1リットル用いられた場合、5キロカロリーのエネルギーが消費されたとして簡易的に推定する方法もあります。

これらの間接法は直接法から求めた値とよく一致しているため、よく用いられています。

間接法は、酸素と二酸化炭素をどう測定するかで以下の方法があります。

  • 代謝室法
  • ダグラスバッグ法
  • 二重標識水法

・エネルギー代謝室法

直接熱量測定法と同じ、特殊な部屋が必要になります。

部屋の中に流入する空気の量・組成がコントロールされており、部屋から排出された空気の中の酸素と二酸化炭素の量を計測します。

熱を直接計測しないので、装置も直接法に比べ大掛かりでなくて済みます。

ただ、直接法と同じように、部屋の中の活動のみしかエネルギー消費を推定できないのが欠点と言えます。

・ダグラスバッグ法

専用のマスクで鼻と口を覆います。

体内から排出された空気は、マスクに付いたホースを通してダグラスバッグという袋に溜まるようになっています。

空気は自由に取り込めるようになっています。

溜まった空気を専用の分析機で酸素と二酸化炭素の量を計測します。

バッグは背負えるので、いろんな活動中の測定が可能です。

しかし、マスクを常に装着しなければならず、ホースとバッグがあるため、活動が制限されるなどのデメリットもあります。

また、酸素と二酸化炭素を計測する機器が高価で、機器で分析するための専門的な技術と知識も必要となります。

・二重標識水法

水素と酸素の安定同位体を用います。

同位体というのは、原子番号が同じで質量数が異なるものです。

1H と18Oを用います(自然界には2Hと16Oがほとんどです)。

これはマークの役割をしていて、HとOの2種類にマークが付けられた水を摂取することから「二重標識水」と言われます。

つまり、マークのついた水素と酸素を摂取して、これらが体外に排出された量から取り込まれた酸素と排出された二酸化炭素の量を推定する方法です。

尿と唾液の摂取のみで測定できます。

マスクなどを付ける必要はなく、なんの拘束もなく自由な活動時のエネルギー消費量を測定できるのがメリットです。

また、精度も高いです。

しかし、1〜2週間の平均エネルギー消費量を求める手法で、短時間・短期間の測定ができません。

さらに、二重標識水が大変高価なのが欠点です。

推定法

直接法、間接法とも専用の部屋、機器、技術、知識が必要となります。

ですので、研究施設とか大学でないと計測は難しいです。

もっと身近な測定しては以下の推定法があります。

  • 心拍数法
  • 加速度法
  • 調査法

これらについては、以下のブログで解説していますので、そちらをご覧下さい。

まとめ

  1. エネルギー消費量を計測する方法には直接法と間接法がある。
  2. 直接法は人が発する熱を直接計測する方法で、間接法は人が取り込んだ酸素と排出した二酸化炭素の量を計測する方法である。
  3. 間接法には、代謝室法、ダグラスバッグ法、二重標識水法がある。
  4. いずれの方法も一長一短あり、状況に応じて使い分ける必要がある。

<参考資料>

・健康運動指導士 養成講習会テキスト、2016

コメント

タイトルとURLをコピーしました