運動には「良い面」と「悪い面」があるのを知ってますか?
「良い面」は知ってますが、「悪い面」なんてあるんですか?
運動は諸刃の剣に例えられます。
「良い面」と「悪い面」があると言うわけです。
「良い面」は、生活習慣病の予防・改善、ストレス発散、など、健康によい影響を及ぼすことが知られています。
これらの点については、多くの情報があり、知っている人も多いと思います。
一方、「悪い面」となると、意外と知られていません。
運動による事故が悪い面として挙げられます。
筋肉や骨・関節を痛めるといった軽微なものから死亡までさまざまなレベルの事故があります。
運動を始めるにあたって、両面をしっかりと理解しておく必要がありますね。
今回は、運動の「悪い面」について以下の内容で解説します。
- 運動中の突然死
- 心筋梗塞・狭心症・脳血管障害
- ハインリッヒの法則
- 事故の防止
運動中の突然死
運動中の事故(死亡やニアミス)について、スポーツ中とフィットネスクラブなどの施設の報告があります。
スポーツ中の突然死の報告例
スポーツ中の突然死のデータがあります。(文献1)
古いデータですが、1984〜1988年に警察へ報告のあったスポーツ中の突然死は645例だったそうです。
結果の要約は以下の通りです。
・男性545例、女性100例
・40歳未満332例、40〜59歳166例、60歳以上147例
・40歳以上では虚血性心疾患による死亡が顕著
・40〜59歳では、ゴルフ41例(24.7%)、ランニング33例(19.9%)、水泳14例(8.4%)
・60歳以上では、ゲートボール44例(29.9%)、ゴルフ40例(27.2%)、ランニング18例(12.2%)、登山11例(7.5%)
フィットネスクラブなどにおける死亡事故、ニアミス事故
また、フィットネスクラブなどの施設における死亡事故について、1989年からの3年間について301施設からのデータも報告されています。(文献1)
結果の要約は以下の通りです。
・135施設から400例の事故の報告
・死亡例は12施設から12例で、1名を除き40歳以上
・男女比で5:7
・ニアミス事故は24施設から28例
・死亡原因は心筋梗塞・狭心症が6例、脳血管障害5例
・水泳9例(75%)、トレッドミル2例(16.7%)、ウォーキング1例(8.3%)
中高齢者は、スポーツ実施においてリスクがあります。
事故の原因は、脳や心臓の血管のトラブルと言えます。
心筋梗塞・狭心症・脳血管障害
中高齢者に多い、心筋梗塞・狭心症と脳血管障害とはどうやって生じるのでしょうか?
心筋梗塞・狭心症
心臓は、酸素や栄養を全身に送り届けるために、ポンプ作用で血液に流れを生み出しています。
心臓は心筋と言われる筋肉でできています。
この心筋が動くことでポンプとして機能するのです。
ただ、心筋も筋肉ですから、動くためには酸素が必要です。
心筋に酸素を供給するのが「冠状動脈」と言われる、心臓の周りに張り巡らされた血管網です。
この冠状動脈が、なんらかの理由で詰まってしまい、血液の流れが悪くなったり、完全に遮断されると心筋梗塞や狭心症が生じるのです。
脳血管障害
脳でも同様です。
脳の神経細胞に酸素や栄養を送り届けているが脳の動脈です。
この脳の動脈が何らかの理由で詰まってしまうことで脳血管障害が生じます。
食習慣や運動習慣が冠状動脈や脳の動脈の詰まりと関連します。
そして、中高齢者の多くはこれらの動脈が詰まっている人が多いようです。
ですから、中高齢者は潜在的に心筋梗塞、狭心症、脳血管障害を発症するリスクを抱えているとも言えます。
ハインリッヒの法則
「ハインリッヒの法則」をご存知でしょうか?
スポーツ中の死亡事故にも同じことが言えます。
重大な事故に至る前に、ヒヤリ・ハットした瞬間があります。
それを見逃さず、運動を中止できるかが大切です。
頑張り過ぎは、このような事故のリスクを高めてしまいます。
事故の防止
メディカルチェック
多くの中高齢者は血管のトラブルを抱えていると考えた方が良いです。
「自分は大丈夫」「昔はバリバリ運動していたから大丈夫」、というのが危ないです。
中高齢者が運動を始める際には、医師によるチェックを事前に受けておくことをオススメします。
運動負荷試験もできればしておきたいですね。
これは、運動中の心臓の働きや血圧をチェックする検査です。
1年に1度、このようなチェックができるのが理想です。
お金はかかりますが、自己投資だと思いましょう!
スポーツクラブなどの活用
スポーツクラブなどの施設を利用するメリットは3つあります。
・インストラクターの在中
・AEDの設置
・適切な運動メニュー
運動中に万が一のことがあっても、インストラクターが対応してくれます。
AEDによる救命救急の処置もできますし、救急車も呼んでくれます。
スピーディーに対応できることで、一命を取り留めることが可能になります。
また、無理な負荷にならないように、適切な運動メニューを組んでくれます。
体調の悪い時にも気軽に相談できます。
これだけのメリットを考えるだけでも、費用対効果は十分だと思います。
まとめ
- 運動には「良い面」と「悪い面」がある。
- 運動による死亡事故やニアミス事故が報告されている。
- 中高齢者は、運動中の事故のリスクを考慮する必要がある。
- 運動中に、わずかな異変でも感じた場合は、中止して重大事故を未然に防ぐ。
- スポーツクラブなどの施設を利用することで、事故のリスクを下げたり、事故への素早い対応が可能となる。
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