自律神経の状態をチェックする!

健康・運動

自律神経は、様々な臓器の調整に関わっています。

ですので、身体の不調の影には自律神経の不調が関係していると言えます。

自律神経の状態を毎日チェックして、体調が崩れないようにしたいですね。

ところで、自律神経の状態ってどうやったら調べられるのでしょうか?

今回は、この点について解説していきます。

恒常性の維持

環境が絶えず変化しても、私たちの体内は常に一定の状態になるように維持されています。

これを、恒常性(ホメオスタシス)の維持といいます。

この例として、体温があります。

気温が高かろうが低かろうが、私の身体の深部の温度はほぼ37℃に保たれています。

深部体温が上昇すれば低下するように、逆に、低下すれば上昇するように身体の調節システムが作動します。

他にも、血液中の糖の濃度である血糖値も常に66〜99mg/dL(空腹時)に維持されています。

また、血圧であれば最高血圧110mmHg、最低血圧70mmHgの範囲に保たれています。

この調節システムの一翼を担っているのが自律神経です。

ですので、自律神経の働きがうまくいかないと、身体の不調となって現れてきます。

自律神経活動を捉える方法

自律神経は、その名の通り、「自律」なのでコントロールすることはできません。

私たちの手足にある筋肉のようにはできないのです。

ですが、自律神経の活動状況がわかればメリットもあります。

体調がなんとなくすぐれない時、その原因がわかれば対処法がみつかる可能性があるからです。

自律神経を活動状況を調べる方法には2つあります。

  • 直接的計測
  • 間接的計測

・直接的計測

交感神経や副交感神経の活動を直接計測する方法で、これには以下のような限られたものしかありません。

  • マイクロニューログラフィ
  • MIBG心筋シンチグラム

・マイクロニューログラフィ

鍼灸師さんが使う鍼のような、微小な電極を身体内の神経の束に刺入して、神経活動を記録する方法です。

神経は情報伝達が主な役割ですが、情報は電気的な活動として伝達されており、その電気を記録します。

これによって、筋肉内の交感神経活動を直接記録できます。

・MIBG心筋シンチグラム

こちらも交感神経の活動を記録するものです。

交感神経は情報を臓器に伝える時、神経の末端からノルアドレナリンという化学的な物質を分泌します。

このノルアドレナリンと構造が類似したMIBGを注射で体内に入れ、その分泌状況を見ることで、心臓の交感神経活動を捉えます。

MIBGを記録するためには、ガンマカメラ装置という高価で大掛かりな装置も必要になります。

マイクロニューログラフィは、身体内に電極を入れなければなりません。

また、MIBG心筋シンチグラムはMIBGを体内に注入し、さらにガンマカメラ装置も必要となります。

このように、これらの手法は、特殊な技術・装置が必要で、なかなか現実的ではありません。

・間接的計測

自律神経の活動状況を直接計測するのはなかなか難しいです。

そこで、自律神経が活動した結果生じた身体の反応を捉える方法です。

こちらであれば、簡易な測定が可能になります。

間接的な計測には、以下のものがあります。

  • 起立試験
  • 寒冷昇圧試験
  • 糖負荷試験
  • 等尺性運動負荷試験 など。

今回は、起立試験をみていきましょう。

起立試験

イスから立ち上がった時、一瞬、目の前が真っ白になった経験はないですか?

これは「立ちくらみ」と言い、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

臥位や座位から起立すると、重力の影響で血液が下半身に移動します。

そのため血圧が一時的に低下します。

脳にいく血流量が減少するために、目の前が真っ白になる訳です。

血圧の低下の情報を身体は察知して、身体の調節システムが作動します。

この際、交感神経も活動し、心臓の機能を高め、血管を収縮させるなどして速やかに血圧をもとの値に回復させるのです。

この身体の反応を利用したのが、起立試験です。

実施方法はいたって簡単です。

1)臥位から素早く(3秒程度)で起立する。

2)血圧と心拍数(脈拍数)を連続記録する。

血圧を連続測定する装置は高価なので利用するのが難しいですが、その場合は自動血圧計で起立3分後までは1分毎に、その後は数分間隔で血圧を測定することで代用できます。

起立した際の一時的な血圧低下がいかに速やかに回復するのか、その回復の程度を評価します。

異常な例としては、起立を始めて3分以内に、最高血圧が20mmHg以上、あるいは最低血圧が10mmHg以上の持続的な低下です。

このような場合は、起立性低血圧に該当します。

自律神経活動が順調ではない状況だと言えます。

簡単にできる試験ではありますが、注意が必要です。

試験時に、気分が悪くなったり、転倒してしまうこともあります。

また、診断については、この検査のみでは判断がつかないこともあります。

普段から深刻な立ちくらみなどある方は、適切な医療機関で検査することをオススメします。

まとめ

  1. 自律神経活動は、恒常性を維持するための調節システムの一翼を担っている。
  2. 自律神経活動を直接記録する方法はあるが、特殊な技術・装置が必要で、現実的ではない。
  3. 自律神経活動を間接的に記録する方法に起立試験がある。
  4. 起立試験で、一時的に低下した血圧の回復状況から自律神経活動を評価する。
  5. 起立試験は簡単に計測できるが、実施方法にはリスクもあるため、医療機関での実施が必要である。

<参考>

・自律神経機能検査、第5版 日本自律神経学会編、文光堂

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