運動は、継続しなければ効果が現れません。
何事も、そうだと思います。
さらに、健康的な運動実践では、効果が現れるまでに2〜3ヶ月ぐらいはかかります。
「健康的な」というのは、食事も極端に制限しないで、科学的根拠に基づいた運動という意味です。
世の中には、
「体重が1週間で○kg減る」
「○○ダイエット」
といった、怪しい方法が出回っています。
そして、残念ながら多くの方がそれに飛びついています。
脂肪は、もともとエネルギーを貯蔵するために最適化されたものです。
ですから、そう簡単にはなくなりません。
簡単になくなっては、本来の貯蔵の意味がありませんから。
だから、ある程度の期間で、ゆっくりと脂肪を落としていくことが必要なんです。
でも、運動の継続って、なかなか難しいようです。
アメリカで行われた研究では、運動教室に参加する人の約50%が6ヶ月以内にドロップアウトすると報告されているそうです。
運動継続のバリア
では、なぜ継続できないのでしょうか?
運動の継続を妨げるものを「バリア」といいますが、次のようなものがあるそうです。
・時間がない
・悪天候
・興味がない
「時間がない」というはよく聞かれますよね。
運動をする時間を確実に確保しておくことが、継続の上では大切になります。
そのためには、自分の生活リズムを把握して、その中で取捨選択して時間を空ける作業が必要になります。
運動継続の要因
では、どうすれば運動を継続できるようになるのでしょうか?
心理的な要因として次の2つがあります。
- 運動の楽しさ
- セルフ・エフィカシー
私個人としては、「運動の楽しさ」が運動を継続する大きな要因となっています。
運動をすると、爽快感とスッキリとした感覚が得られます。
運動前は、仕事の悩みなどでゴチャゴチャした状態だったのに、運動後はスッキリ整理整頓されています。
しかし、「運動の楽しさ」は誰もが最初からあるものではありません。
では、2番目の「セルフ・エフィカシー」とは何でしょうか?
セルフ・エフィカシー
聞き慣れない言葉ですね。
バンデゥーラというカナダの心理学者が提唱した言葉です。
「運動を妨げる要因を克服する見込み感(自信)」という意味です。
日本語では、「自己効力感」と言われます。
運動の最も強力な決定要因の一つと言われています。
人がある行動へのセルフ・エフィカシーを強く感じていると、その行動を行う可能性が高くなると考えられています。
セルフ・エフィカシーを向上させる方法
4つの方法でセルフ・エフィカシーを向上させることができます。
- 成功体験
- 代理的経験
- 言語的説得
- 生理・情緒的な喚起
成功体験
実際にやってみて成功した体験のことです。
成功体験によって脳内にドーパミンが分泌され報酬系が活発になり、またやりたくなるのです。
簡単な課題ではドーパミンがあまり分泌しません。
かといって、難しすぎる課題は、失敗して挫折していまいます。
少し頑張らないと達成できない課題を設定することが大切です。
運動について、課題をクリアしていきながら、徐々に課題のレベルを上げていくことで、継続する習慣ができるようになります。
代理的経験
自分ではなく、ライバルや同年齢など自分に似ているモデルとなる人が、成功したことを見聞きすることです。
「あいつにできたなら、自分にもできるはず!」
そういう感覚です。
自分の周りに、自分と同じような状況で運動が継続できている人に具体的な方法や工夫などを聞くのも良いですね。
スポーツクラブなどに行くと、同じ目標を持って頑張っている人を見たり、知り合いになったりします。
それが良い刺激になるんですね。
言語的説得
ほめる、励ますといった言葉によるモチベーションです。
言葉をかける人は、誰でも良いというわけではありません。
憧れの人、尊敬や信頼している人、パートナーなどからひと声かけられると、すごく自信がつきますよね。
生理・情緒的な喚起
自分の内部の生理的な、そして情緒的な状態に耳を傾けます。
運動をすることによって「体が軽いな」、「気分がいいな」といった変化が次への意欲になります。
「運動すれば、こういう状態が継続できるだ」といった効果への期待感ですね。
これに気づくためには、意識を自分の中に向けることが大切ですね。
これら4つを活用して、運動に対するセルフ・エフィカシーを高めることによって、運動が継続できるようになります。
まとめ
- 運動は継続しないと効果が得られない。
- 運動の継続を妨げるバリアがある。
- セルフ・エフィカシーを高めることで、運動へのバリアを克服できる。
- セルフ・エフィカシーを高める方法には、成功体験、代理的経験、言語的説得、生理・情緒的な喚起の4つがある。
成功体験:設定した課題をクリアする体験を持つこと。
代理的経験:自分のモデルとなる人が成功したことを見聞きすること。
言語的説得:他者からの励ましなどの声掛け。
生理・情緒的な喚起:身体的・心理的な良い方向への変化を感じ取ること。
- 4つを活用してセルフ・エフィカシーを高めることで、運動の継続が可能になる。
<参考資料>
・健康運動指導士 養成講習会テキスト
・「セルフ・エフィカシーを高めるポイント」、https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-07-002.html
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