小中学校の頃だったと思いますが、昔はストレッチではなく柔軟体操なるものが体育の授業で行われていました。
二人がペアになって、一人が体育館の床に脚を伸ばして座り、その背中をもう片方のペアが押すというもの。
私は身体が硬い方なので、先生がきて、背中をぐいぐい押し、場合によっては、背中の上に乗りかかるように体重をかけてくることも。
それによって、脚の裏側のハムストリングスとか下腿三頭筋という筋肉が無理やり伸ばされる。
こうすれば身体が柔らかくなるそうだ・・・
そう信じられていた時代で、よく見る風景でした。
それが、今では、そのやり方では筋肉を痛めてしまうからダメだという。
痛い思いまでして、無理やりやられたことは一体なんだったんだろうか?
急に伸ばすと
筋肉は、伸ばされ具合を検知する筋紡錘というセンサーを持っていて、急に伸ばされるととそのセンサーが作動します。
そうすると、伸ばされた筋肉を縮めようとする反射が生じます。
筋肉は急に伸ばされると切れてしまうリスクがありますから、それを防ごうとする身体の防御反応です。
熱いものを触った時、素早く手を引っ込める動きが起こりますが、それも反射です。
この時、熱いから手を引っ込めるのではなく、気付いたら引っ込めていたと思います。
そうなんです、反射は意識とは関係なく勝手に生じるのです。
ですので、脚を伸ばしている時に、その筋肉が急に伸ばされると、逆に、筋肉が縮む反射が無意識に生じてしまうのです。
そうすると、筋肉自体や筋肉が骨に付着している部分が損傷してしまうのです。
筋肉をゆっくり伸ばす
ある時から、筋肉をゆっくり伸ばす「ストレッチ」と言われるものが行われるようになりました。
いつごろなのかはっきり覚えていません。
このストレッチでは、「無理に伸ばすな」、「急に伸ばすな」と、これまでと全く違ったことを指示されびっくり。
これも進歩というものでしょうか。
ストレッチの種類
ストレッチは、正式には「ストレッチング」といいます。
でも、ストレッチの方が一般的になってしまいましたね。ですので、ここでもストレッチという言葉を使用しています。
このストレッチには、『スタティック・ストレッチ』と『ダイナミック・ストレッチ』があります。
スタティック・ストレッチは、筋肉をゆっくり伸ばす方法です。
一方、ダイナミック・ストレッチは、神経調節の仕組みや、反動なども利用しながら筋肉を伸ばすものになります。
サッカーのブラジル体操は、ダイナミック・ストレッチの例としてよく紹介されていますし、ラジオ体操なんかもこちらに属すると思います。
ストレッチの使い分け
これらのストレッチですが、使う場面が違います。
運動前の準備運動ではダイナミック・ストレッチで、運動後はスタティック・ストレッチが基本となります。
運動前は、これから主運動を行う訳なので、まさしく筋肉を準備するためのものになります。
一方、運動後は、筋肉の疲れをとり、休息させるのが目的で、ゆっくりと筋肉を伸ばすスタティック・ストレッチが良いです。
スタティック・ストレッチの際は、筋肉を伸ばす時ゆっくりと呼吸をするといいですね。
運動で高まった交感神経活動を抑え、身体をリラックスさせる副交感神経活動を活発にさせてくれるようです。
ですので、運動後だけでなく、就寝前にスタティック・ストレッチを行うのもオススメです。
ストレッチで運動への準備、身体のケアを怠らず、運動を継続していってください!
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