スポーツ科学の基礎:心臓

健康・運動

心臓は、止まることなく、一生で30億回ほど動くと言われています。

止まることなく、動き続けてくれています。

もし止まってしまったら・・・

現在は、死の定義も変わりつつありますが、昔は心臓の停止が死と同義でした。

私たちが生きていくためには欠くことのできない臓器である心臓。

心臓は、どんな働きをしているのでしょうか?

位置・大きさ

心臓は左にあると言いますが、実際には少しイメージが違います。

胸部の真ん中あたりから少し左に傾いている感じです。

大きさは、握りこぶし1個分ぐらいの大きさで、成人で200〜300gぐらいだと言われています。

意外と小さいですね。

働き

心臓の働きは、血液を循環させることです。

ポンプに例えられます。

心臓が動く(収縮する)ことで、心臓内に溜められた血液が押し出され、流れが生まれる訳です。

これによって、頭の先から足の先まで、くまなく血液が流れることができます。

そして、細胞に必要な酸素や栄養を受け渡し、不必要となった老廃物を運搬します。

心臓が止まってしまうと、血液が循環できなくなってしまい、身体の細胞は生きていけなくなってしまいます。

調節

心臓は特殊な臓器で、それだけを取り出しても、しばらく動き続けることができます。

これを自動能と言います。

心臓も、手足にある筋肉と同じ筋肉でできています。

手足にある筋肉は骨格筋、心臓の筋肉は心筋と呼ばれます。

これらは、名前だけでなく、構造も少し異なっています。

ただ、同じ筋肉ですので、動くためには命令が必要です。

骨格筋は、脳や脊髄から命令が送られてきます。

一方、心臓には、心筋を動かす命令を自動的に発生させる特殊な細胞が心臓自体にあるのです。

この命令で心臓が動き、基本的なリズムが生み出されているのです。

安静にしている時、一般人の場合、心臓は毎分60〜80拍ぐらい収縮します。

運動・運動後の調節

運動時の調節

運動をすると骨格筋で多くの酸素が必要となります。

そのため、心臓の収縮頻度を増やし、多くの血液を送りださなければなりません。

この役目を担っているのが、自律神経とホルモンです。

自律神経のうち、交感神経は心臓の収縮頻度を増加させます。

また、交感神経が副腎髄質に作用し、カテコラミンというホルモンが血液中に分泌されます。

このホルモンが血液の流れに乗って心臓に到着し、心臓の収縮頻度と収縮力を高めます。

収縮力とは、心臓が縮む程度を変化させます。

収縮力が強くなると心臓はより多く縮み、より多くの血液を送り出すことができるのです。

運動後の調節

運動が終了すると、心臓の活動を元の安静に戻していく必要があります。

必要もないのに、多くの血液を送り続けることはありません。

そこで活躍するのが、自律神経の副交感神経です。

副交感神経が、心臓の高まった活動を元の安静状態に戻してくれます。

自律神経については、以下のブログも参照して下さい。

心拍数

心臓の活動状況の客観的な指標として、心拍数があります。

心拍数は、心臓が1分間に何回収縮したかを表すもので、単位は拍/分です。

安静時は、一般人では60〜80拍/分ぐらいです。

マラソン選手などの持久的アスリートは、60拍/分以下になります。

持久的アスリートの中には、安静時の心拍数が30拍/分台だったいう報告もあります。

心拍数の上限もあります。

これを最高心拍数といいます。

これは、実際には計測しないと分からないのですが、以下の式で統計的に推定できます。

心拍数の上限

最高心拍数=220ー年齢

20歳で200拍/分、50歳で170拍/分となります。

年齢とともに最高心拍数は減少します。

また、最高心拍数はトレーニングをしても変化しないことも興味ありますね。

性能

心臓の性能は、心拍出量で評価することができます。

心拍出量とは、1分間で送り出せる血液量のことです。

一般人では、この値が毎分20リットル程度です。

一方、持久的アスリートは、毎分40リットル以上となります。

持久的アスリートの心拍出量が大きい理由として、左心室の拡張があります。

心臓は4つの部屋に分かれていますが、左下の部屋を左心室といいます。

持久的アスリートは、この左心室の空間が広くなっているのです。

そのため、多くの血液を溜めることができ、結果的に多くの血液を送り出すことにつながるのです。

このような心臓のことを「スポーツ心臓」といいます。

多くの血液が送り出せるということは、筋肉により多くの酸素を送り届けることができることを表しています。

ですので、心拍出量の大きい心臓は、性能のよい心臓とも言える訳です。

持久的アスリートは、日々の厳しいトレーニングで、心拍出量を高めているのです。

もちろん、一般人でも有酸素運動を実践することで、心拍出量を高めることができます。

まとめ

  • 心臓は、握りこぶし大の大きさで、収縮することで血液を押し出すポンプの役割をしている。
  • 心臓には、自動能があり、それ自体でも動くことができる。
  • 運動時・運動終了時は、自律神経とホルモンの作用で心臓の収縮頻度・収縮力を調整している。
  • 心臓の収縮頻度を心拍数という。
  • 心臓から送り出される血液量は心拍出量といい、その大小が心臓の性能を表している。

心臓も筋肉です。

骨格筋と同じように、運動することで心臓を良い状態を維持することができます。

さあ、運動しましょう!

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