1~2時間トレーニングしただけで体脂肪率は変わらないよ!

健康・運動

すごーい!さっき、トレーニング始める前に測った時より1%も体脂肪率が減ってる!

えっ、本当?

たった1時間運動しただけなのに?

これ見て!トレーニング前は24%だったのに、終わったあと測ったら23%になってる。

インピーダンス法で測ったんだね。だからだよ。

えっ、どういうこと?

手軽に体脂肪率を計測できることからインピーダンス法の機器が普及しているんだ。

ただ、ちょっと注意しないといけないこともあるんだ。

今回は、インピーダンス法での体脂肪率の計測について解説するね。

体脂肪率のあるある

トレーニング前後に計測をして、「体脂肪率が1%減った!」って喜んでいる人をみかけます。

気持ちはよくわかるのですが、それって本当でしょうか?

例えば、体重が50kgの人の1%の体脂肪率というと0.5kg(500mg)になります。

これは、500mLのペットボトルの飲み物とほぼ同じ重さになります。

その重さの脂肪が、わずか1〜2時間程度のトレーニングで消費されてなくなったのでしょうか?

いえ、残念ながら脂肪はそんなに簡単にはなくなりません。

なぜそうなのか、ここからは小難しい計算で説明しますがお許しください。

体の脂肪は、1g当たり約7kcalのエネルギーに相当します。

0.5kgとなると約3,500kcal。

トレッドミルで分速139m(時速8.3km)でランニングをするとします。

この運動は、9METsに相当し、最大酸素摂取量が40mL/kg/分(≒11.4 METs)の人の場合、この値の78.9%に相当することになります。(METsはまたの機会に解説します。)

最大酸素摂取量の80%となると、結構きつい運動で、30分継続するのもかなり大変だと思います。

先程の約3,500kcalをこの9METsの運動で消費する場合、どのくらいの時間がかかると思いますか?

なんと、約7.8時間。

あくまでも計算上の話ですが、それでも、たかだか1〜2時間の運動でなくなる脂肪の量ではないことはわかっていただけたでしょうか?

では、なぜ1%も少なくなっていたのでしょうか?

その前に、そもそも体脂肪率ってどうやって測っているのかを考えてみましょう。

体脂肪率の測定方法

体脂肪率を計測する方法はいろいろなものがあります。

水の中に入って計測するものや、X線を照射するものなど。詳しい話はまた別の機会に。

いろいろある計測方法の中で、最も手軽で一般的に普及しているのがインピーダンス法を用いたものです。

体重計とセットになったインピーダンス法の機器などもよく見かけます。

簡単に計測できて、機器も高価なものもありますが、手軽に手に入るものも。

スポーツクラブはもちろんのこと、家庭にも置いてあるところが多くなってきました。

体重計と同じように乗るだけ、あるいは、専用の装置を手に持つだけで計測できる手軽さです。

インピーダンス法の測定原理

インピーダンス法では、身体に交流という電気を流すことで体脂肪率を計測します。

電気を流すといっても非常に微弱なもので、ビリビリしたりしませんので安心してください。

ただ、電気を身体に流すので、ペースメーカーを装着している人は測定を避けてください。

水は電気を流す性質を利用して計測しています。

筋肉は水分を多く含むため電気をよく流しますが、脂肪は水分を含まないため電気を流しません。

電気の流れやすさは「抵抗値」という数値で表すことができます。

交流の場合は、それを「インピーダンス」と呼ぶため、インピーダンス法と呼ぶのです。

脂肪を多く含むと、交流電気を流した際にインピーダンスの値が大きくなります。

逆に、脂肪が少ないとインピーダンス値は小さくなります。

このインピーダンス値を計算式に入れて体脂肪率に変換するのです。

この測定原理上、身体の水分量の変化に測定値は大きく影響されることになるのです。

運動後なぜ体脂肪率が減ったのか

では、あらためて、なぜわずか1〜2時間の運動で体脂肪率が1%も少なくなっていたのでしょうか?

それは、「水分量」が変化した結果なのです。

原理のところでも説明したように、インピーダンス法は水分量を計測しています。

ですから、水分量が大きく変動するような状況では、正しく脂肪率を計測できないのです。

運動をすれば、汗をかいたり、水分補給したりして、身体の水分量は変化します。

こういう状況では、インピーダンス法では正しく脂肪の量を計測することができないということなのです。

いつ計測すればいいのか

インピーダンス法の計測は、身体の水分量が大きく変化せず、ほぼ一定の状況で計測することが望ましいです。

例えば、毎朝、起床後、トイレに行った後に体重とともに計測する。

これが、オススメです!

また、1回1回の測定で一喜一憂してはいけません。

ある程度の期間で体脂肪率の変化を判断することが現実的です。

例えば、2週間ぐらいの体脂肪率の変化が減少傾向であれば脂肪は減っている、という具合に考えた方が良いです。

考えてみると、体重でも1週間で結構変動します。

私の経験では、1週間で1〜2kgは体重も変動します。

体重や体脂肪率のような数値は、いろんな状況でゆらぎますので、点としてではなく、線としてその傾向を捉えていく必要があります

まとめ
  • 体脂肪率を計測する方法はいろいろあるが、一般に普及しているのはインピーダンス法である。
  • インピーダンス法の機器は、安価で手に入りやすいものも多く、計測方法も手軽である。
  • インピーダンス法の測定値は身体の水分量に大きく影響される。
  • インピーダンス法では、測定条件をそろえて計測し、ある程度の期間での体脂肪率変化を評価する。
  • 運動を少ししたぐらいで体脂肪率は減らない。

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